これからの米飯給食

米飯給食の推進強化
食糧庁 優良事例集を配布予定

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 昭和51年度から、値引き措置を伴った政府米が学校給食に供給され、平成元年度から自主流通米にも政府の助成が行われてきた。その値引率は、新規実施校において最高60〜70%であったが、平成9年6月に閣議決定された財政構造改革の下で段階的に廃止されることとなり、今年度から全面的に廃止されている。これらを受けてこれからの米飯給食の推進に関して食糧庁に話を伺い、また完全米飯給食を行っている市町村に、現在の状況や今後の動きについて聞いた。

 平成11年度の学校給食用米穀の値引き売却、学校給食用自主流通米交付金の総額は27億5300万円。これらについては全て廃止されることとなったが、その他、備蓄米の無償交付や米飯学校給食環境整備の支援などは引き続き同額で助成されることとなっている。米飯給食への政府の助成分については、生産者団体や都道府県、市町村が負担したり、給食費を値上げするなどして各自治体で様々な対応が行われている。今回の値引き措置廃止の影響に関して、食糧庁計画流通部業務流通課の中野米司課長補佐は、「値引き措置によって米飯給食の回数は年々増加し、ここ数年の実施回数は週平均2・7回が定着しています。今後もこの回数が減ることはないのではないか」と述べた。

 同庁では、今年度から米飯学校給食推進のための取り組みを強化することとしている。学校給食会や経済連、JA団体など関係者を集めて「米飯給食等推進のためのブロック会議」を全国9のブロックで開催し、米飯給食の推進に関して各県の優良事業をまとめ、事例集として各都道府県、市町村に配布する予定となっている。
 また、3月に閣議決定した食生活指針を受け、同庁では健康・栄養面から米の大切さを積極的にアピールしていくとのこと。特に若い女性や朝ご飯を食べていない人に対してのアピールを強化し、さらに給食を通じて健康や栄養面からご飯食の大切さを児童・生徒に伝え推進していく。

子どもの要望 週4回に変更
(千葉・印旛村)

 千葉県印旛村では、子どもたちに地元のお米を食べてもらいたいという願いのもと、地元産米5割、政府米5割を使用し昭和50年から完全米飯給食を行ってきたが、2年前から週に1回、パンや麺を献立に取り入れるようになり、現在は週4回の米飯給食を行っている。これは、今回の値引き措置廃止を受けての対応ではなく、子どもたちの要望によるものだという。
 「毎年1度、子どもたちにアンケート調査をしているのですが、子どもの食生活が変化する中で、パンや麺も食べたいという要望が強く出てきたため週1度取り入れることになりました」と、同村学校給食共同調理場の栄養士徳田友美子さんは話す。たまにはパンも食べたいという子どもたちだが、「ご飯は好きですか」の質問に対しては「好き」が6割弱、「ふつう」が4割弱、「きらい」と答えた子は1%ほどとのこと。
 政府から受けていた助成の分は、今後村が負担するため、給食費の値上げ等は一切行わず、週4回の米飯給食は継続していくとのこと。学校給食用米穀の値引き措置廃止による影響は特にないとのことだ。

パンの輸送困難 週5回米飯に
(新潟・高柳町)

 地元産の米と30品目の野菜を学校給食に使用している新潟県高柳町。へき地であるためパンの輸送が困難ということもあって、平成2年度から完全米飯給食を実施している。給食に出される米は地元産コシヒカリを100%使用している。政府からの助成分は、町の負担と昨年度の給食費の値上げで対応した。今後も週5回の完全米飯給食は続けていくとのこと。
 学年ごとのリクエスト給食を毎月1度行い、パンや麺類がリクエストされた時は用意することとなっているが、リクエストされる人気メニューは、ピラフやかつ丼などご飯を使ったものが多く、子どもたちにはご飯食が定着しているようだ。
 
〈宮崎県・えびの市〉
 昭和56年から週5回の完全米飯給食を行っている宮崎県えびの市。政府からの助成分は市からの助成とおかずなど食材の経費をやりくりして対応し、給食費は特に値上げをしていない。
 子どもたちから時にはパンも食べたいという声もあがるとのことだが、デザートや洋風なおかずを取り入れるなどして対応しており、今後も完全米飯給食を持続するとのこと。
(教育家庭新聞2000年5月20日号)