基礎的な運動能力が低下傾向に

成長期で特に深刻

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 「走る」「跳ぶ」「投げる」能力は依然として低下傾向に−−文部省では体育の日を前に、1998年度「体力・運動能力調査報告書」を発表したが、50メートル走では7歳の男女、立ち幅跳びでは7歳と9歳の男女で過去最低を記録するなど、特に6歳から19歳までの成長期に当たる年齢区分で基礎的な運動能力が劣っていることがわかった。64年の東京オリンピックを契機に毎年行ってきたもの。今回からは体位の向上や高齢化が進んだこともあって、テスト項目や年齢区分を見直した「新体力テスト」として実施している。

 今回からの「新体力テスト」では、調査の年齢区分を1小学生(6〜11歳)2学校段階の青少年(12〜19歳の中学生・高校生・高専男子・短大女子・大学生)3青年(20〜64歳)4高齢者(65〜79歳)−−に分けて昨年5月から10月にかけ測定を実施。回収率95・2%に当たり約7万6000人のデータを集計した。
 テスト項目についても各年齢区分に共通した「共通種目」として「握力」「上体起こし」「長座体前屈」の3種目を設定。これ以外に、小学生には「反復横跳び」「往復持久走」「50メートル走」「立ち幅跳び」「ソフトボール投げ」を加え、また青少年には「ソフトボール投げ」に代えて「ハンドボール投げ」、「往復持久走」を男子1500メートル、女子1000メートルの持久走とのどちらか選択として実施した。

 調査結果を見ると13歳男子の「ハンドボール投げ」以外は、ほとんどの項目・年齢・性別で10年前の88年と比較して記録が低下している。例えば持久走については、男子の19歳が400・45秒で28・72秒、16歳が378・35秒で13・09秒、13歳が393・26秒で18・68秒、女子でも19歳が309・58秒で10・38秒、16が300・21秒で2・21秒、13歳で294・11秒で11・97秒遅くなっている。

 旧テストと同じ種目の主な結果を、10年前の記録と比較すると次のようになっている。
 【立ち幅跳び(単位・センチ)】=▽7歳男子128・45(マイナス10・04=以下同様)▽7歳女子120・36(9・45)▽9歳男子149・07(9・4)▽9歳女子140・17(10・92)
 【50メートル走(単位・秒)】=▽7歳男子10・78(プラス0・53=以下同様)▽7歳女子11・02(0・49)▽9歳男子9・68(0・29)▽9歳女子9・95(同)▽11歳男子8・93(0・28)▽11歳女子9・26(0・33)▽13歳男子8・00(0・08)▽13歳女子8・82(0・06)▽16歳男子7・51(0・17)▽16歳女子9・06(0・22)▽19歳男子7・42(0・14)▽19歳女子9・19(0・38)
 【ソフトボール投げ(単位・メートル)】=▽7歳男子13・36(マイナス1・61=以下同様)▽7歳女子7・94(0・99)▽9歳男子22・06(2・1)▽9歳女子12・64(1・18)▽11歳男子29・77(3・22)▽11歳女子17・49(1・54)
 【ハンドボール投げ(単位:メートル)】=▽13歳男子21・89(0・29プラス)▽13歳女子13・91(0・7マイナス=以下同様)▽16歳男子26・35(1・42)▽16歳女子15・10(1・23)▽19歳男子27・14(1・72)▽19歳女子14・72(2・28)

 このうち「立ち幅跳び」の7歳男女と9歳男女、「50メートル走」の7歳男女と9歳女子については、83年度以来、また「ハンドボール投げ」の13歳女子と19歳男女、「持久走」における男子の13歳、16歳、19歳で64年度以来の過去最低を記録した。
(教育家庭新聞99年11月13日号)