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■学ぶことは自らのパワーに繋がる
学ぶ意義・喜びを子どもに伝えて
NCN米国大学機構は、アメリカの大学の共同ネットワーク組織であり、提携するアメリカ国内の大学にそれぞれ事務局を置く。留学生を送って終わりではなく、事務局スタッフが卒業・就職までを全サポート。ネイティブの学生でさえ卒業が難しいと言われるなか、同機構を利用した学生の92%が卒業している。さらに、当初はサポートを中心としていたが、現在は社会に出るための進路指導にウエイトを置き、就職内定率は100%を誇る。
大学卒業後、商社でプラント輸出に携わってきた堀さん。それは工場をまるごと輸出する、つまりノウハウ付きで売るということ。「ものを組立てプランしていくことに強い興味を抱き始めましたね」。5年で退社し、30歳で新規の事業を興すためのシンクタンクを始めた。その経験を元に自分たちの事業を興そうと決意。「生きがいや価値を追求できるものはなんだろう」。常に学び続けていた自身の経験から、「学ぶ=パワー」とわかっていた堀さんは、将来を担う子どもたちのためにと考えた。
当時、テキサスに日本人をサポートしていたボランティア団体がいた。その団体からヒントを得て、現地の大学との共同体制と組むことが、日本人留学生のためになると考えた。「送るという形ではなく、受けることをメインとした制度を作り始めました。それが日本に欠けていた部分でした」。利用者の立場から物を見て事業を開発していたからこそ気づいたことだ。
留学希望の学生たちは、進学説明会、個人面談を含む共通審査を経て晴れて合格となり、その後次年度の渡米へ向け「英語力」「専攻に対しての基本的学力」「現地で学ぶ心構え」といった国内での準備課程に入り、簡単な英語による授業を受けられるまでに成長する。その間に、「留学してみたいな」と当初は軽い気持ちで思っていた心が、自ら「考える」ように変化していく。保護者も熱心で、今の日本の現状や自分たちの力に危機感を持ち、子どもたちは力をつける必要があると、特に父親が熱心に話に耳を傾けているそうだ。
同機構では、今年からトップスクールプログラムの受入れを始めた。これまでは提携していた受入れ大学への留学だったが、その後ハーバード大などの名門大・アートや映画などの専門分野のトップスクールへ転学することを目標としたシステムだ。
「日本は産業界と教育界に大きなギャップがあります。子どもたちを自立させることを重要視し、もっと全体を見て下さい。海外で学ぶデメリット・メリットをよく見極め、さまざまな選択肢があることをもっと知って下さい。そのなかで我々は、学びの意義、学ぶ喜びをもっと伝えてあげたいと思っています」と、子どもたちの人生のプランニングを応援する。
【2007年5月19日号】