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中学時代の「習慣」が学びの基礎
カレー文化を日本に、学校給食に

カレー総合研究所所長 井上岳久

今夏の人気のカレーは「ベジキーマ」

井上岳久 さん

 「早寝早起き朝ごはん」が定着しつつある昨今「朝ごはん」に、変化が見えている。それは「朝カレー」の存在だ。大リーガーのイチロー選手が「朝カレー」を実践していることで有名になった。「朝カレーは、頭がシャキッとしてお勧めです」と語る井上さんは、2007年3月、惜しまれながら閉館した横濱カレーミュージアムで、責任者兼総括プロデューサーを務め、カレーブームを牽引。現在、カレー総合研究所所長として日本のカレー文化を盛り上げている。

 大学時代は政治学を学び、行政の道に進みたいと思っていた井上さん。なぜカレーの道、それも第一人者と呼ばれるほどになったのか。  大学卒業後、社会人の基礎を身につけるため商社に就職。全国を飛び回るなか、元々食べることが好きだったため、全国のラーメン・餃子・カレーを食べ歩いたという。その流れでカレーの道に進んだのか?いや、まだ続きがある。

 商社で働く中、マーケティングの重要性に気づき経済学部に入学。「中小企業診断士」の資格を取得した。その後就職したアミューズメントを手掛ける会社が、横濱カレーミュージアムをオープンさせたのだ。立ち上げにも関わったが、本来は会社全体のマーケティングの責任者だったため、専任ではなかった。

 しかし、来場者が低迷してきたことを受け、再生を託され責任者として抜擢された。「横濱カレーミュージアムを盛り上げようと、土日に勉強会を開催しました。365日カレーについて考えていましたね」と笑う。その勉強会は、木曜日の朝7時から、内容はマーケティング全般についてと形を変えながらも続いている。

 小学生の頃、ほとんど勉強しなかった井上さん。「見かねた父が、中学入学を機に一緒に勉強しよう≠ニ机を並べました」。最初は座っていることすら辛かったものの、2か月経つと慣れ、3か月経つと「自分の部屋でやりなさい」と言われた。「解放されたと思ったのですが、習慣化されて勉強していました。この出来事があったから今の自分があると思っています」と父へ感謝しているという。

 長年「学ぶ」なかで得たものは、現在の活動にも大きく役立っている。世の中の流れやデータから、カレーのトレンドを予測しているのだ。今のお勧めは「ベジキーマカレー」。「昨年あたりからキーマカレーの人気が上昇し、同時に野菜のカレーも人気があります。キーマにはどんな野菜も合いますし、野菜嫌いの子どもも食べられます」。

 おいしいだけではなく、食料自給率の改善にも役立つかもしれない。「地域の野菜を取り入れ、地産地消カレーを作ろうとしている地域もあります。学校給食にも取り入れることができますね。カレーは地域の個性、栄養士さんの個性が出しやすい献立。家庭では、ルウソースを使ったカレーがほとんどでしょうから、学校ではルウ以外から作るカレーなど幅広いカレーの文化をぜひ教えて下さい。カレーは、味覚がすべて詰まっている教材でもあります」。

 井上岳久(いのうえ たかひさ)=1968年埼玉県出身。法政大学法学部、慶應義塾大学経済学部卒業。横濱カレーミュージアム責任者として、入館者数減少に悩む同館を復活させた。07年の閉館後、カレー総合研究所を立ち上げ、08年法人化。商品開発にも定評があり、加工食品は大手メーカー中心に100品以上を企画販売し、いずれもヒット商品に。カレー研究の第一人者として活躍中。

【2009年7月18日号】