教育家庭新聞・健康号
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教育実践事例
中学生が妊婦に!
中野区立第三中学校
 中学生が妊婦!で驚いてはいけない。妊娠の後には必ず親になるのである−と、これは、妊婦ジャケットを使った妊婦体験と沐浴人形での体験。東京都中野区立第三中学校(穂積芳美・校長)が東京都看護協会の協力を得て実施した。
首の据わらない赤ちゃんを入浴させる体験。人形は母親学級などで使っているもの
首の据わらない赤ちゃんを入浴させる体験。
人形は母親学級などで使っているもの

 同校は今年度、9月14日から17日までの4日間、総合的な学習の時間を利用して、6つに分けた領域ごとにそれぞれの実践を行った。領域は「国際理解」「情報」「環境」「福祉」「健康」「郷土・地域文化」。1学期に希望ガイダンスを受けて全校生徒がどれか一領域を選択し、学年を超えて取り組む。「国際理解」では「留学生の話を聞く会」や大使館訪問、「情報」では新聞社やテレビ局の訪問、「環境」では下水場見学や神田川の水質調査などに生徒達が参加する。「健康」は「生涯生活を考える」をテーマに、妊婦、沐浴体験のほかに助産師による「二次性徴について」「出産について」の講演、救急救命法・心配蘇生法、車椅子・手話体験、「青年期のメンタルについて」「ストレスについて」の講演・学習を行った。

◇ ◇

 妊婦体験では、生徒達は6キロ以上ある妊婦ジャケットを着用しての靴下の着脱、校内回遊。沐浴体験では、まだ首が据わっていない状態の約3キロある人形を抱っこしたり、そのままトイレへ行ったり。体験を終えた生徒達は、「電車で席を譲るなどできることはしようとおもった」と肯定的な感想も。これら4日間は、生徒一人ひとりがB4版の新聞にまとめ、領域別の発表会のときに体育館に掲示、保護者も見ることができた。

 同校では一人の生徒が3年間で3つの領域を体験するようこれからも一年に一度実施していく予定。穂積校長は、この学習を生徒の学び方・生き方にどう結びつけていくか、まとめ学習のやり方に日程や時間の確保、調整が難しいなど課題もあるが、「3つの領域を体験できるので、誰かに関連する質問されても答えられるようなこの学習を維持していきたい」と語る。

妊婦体験用ジャケットを着ての体験
妊婦体験用ジャケットを着ての体験


【2005年1月15日号】