子どもの頃からの朝食抜きが習慣化

20代、30代男子で顕著

1997年度国民栄養調査


 20代の男性2人に1人、30代の男性3人に1人が週2、3日以上「朝食抜き」で、夕食を取る時間についても遅くなる傾向にあることが、厚生省が実施した1997年度の「国民栄養調査」で判明した。また朝食抜きの生活が小・中・高校生の頃から習慣化している人が20代と30代では約3割にも達しており、同省では「こうした不規則な食生活は、さまざまな生活習慣病の要因である肥満につながる」と警鐘を鳴らし、正しい食生活を送るように呼びかけている。

 同調査は昭和27年に制定された「栄養改善法」に基づいて、国民の食品や栄養素の摂取量を把握すると同時に、栄養と健康との関連を調べるための基礎資料を得る目的で毎年行われているもの。全国300地区内に住む約5000世帯・1万5000人を対象に、訪問調査方式で実施された。
 ある1日に朝食を食べない20歳以上の人の割合は、20代が最も高く男性が32・9%、女性が15・9%だった。30代では男性20・5%、女性8・8%、40代では男性11・4%、女性6・7%となっている。ここ20年間の朝食欠食率の推移を見ると、一番増えているのは20代男子で12・8ポイント、次いで30代男子の11・3ポイント。後は1桁台の増加で女性はいずれの年代でもほぼ横ばい状況にある。
 1週間のうち2、3日以上朝食を食べない人は、やはり20代の男性が最も多く45・0%と約2人に1人の割合。次いで30代の男性で29・9%と3人に1人。特に20代の男性では26・3%が「ほぼ毎日食べない」と回答している。この週に2、3日以上朝食を抜く人に対して「いつごろ習慣化したか」を聞いたところ、20代と30代ともに3人に1人が「小・中・高校生から」と回答、若い時期から適正な食生活の習慣を身につけるように働きかけることの必要性が浮き彫りになった。
 こうした朝食の欠食習慣の有無別に夕食状況を見ると、「夕食時刻不規則」と回答した人は・欠食あり・が59・0%、・欠食なし・が26・5%と極めて顕著な相関関係が見られた。また朝食を取らない人は夕食後の間食も多く、1日全体の食生活のリズムに乱れがあるという結果も出ている。夕食内容についても、「塩分の多い食品や料理を食べる」「揚げ物が多い」「野菜を食べない」「主食を抜く」など偏りが見られることもわかった。
 夕食を食べる時間帯について1985年と比較すると、「午後7時前」が62・5%から40・5%、「午後7〜8時台」が32・9%から47・8%、「午後9時以降」が4・4%から11・2%と増加。遅い時間帯に夕食を取る人の割合が増えていることが判明。特に夕食時刻「午後9時以降」の人は20代男性が26・8%、30代男性が27・2%となっている。
 1日の摂取エネルギーを朝、昼、夕食及び間食別に見ると、夕食の占める割合が高く、女性よりも男性でその傾向が強いことがわかった。中でも20〜40代の男性では夕食が45%前後を占め、1日のエネルギー量の約半分を夕食から摂取しており、量的に夕食に偏る傾向が強いことがわかった。

脳卒中や心臓疾患への道も 

近年男性の肥満者の割合が増加しているが、20代男性の肥満度別の夕食の取り方を見ると・肥満・の人では「夕食後に間食が多い」45・3%、「夕食に揚げ物が多い」51・6%、「夕食に塩分が多い食品や料理を食べる」51・6%と・普通・の人と比べてその割合が高いという結果が出ている。また1日の栄養摂取量を見ても・肥満・の人は、脂質エネルギー比率が適正比率の上限とされる25%を超えて高率であると同時に、食塩の摂取量も高く脳卒中や虚血性心臓疾患などの危険因子を抱えていることもわかった。
 一方、エネルギーの栄養素別摂取構成比を見ると、摂取エネルギーに占めるたんぱく質・脂質・糖質の比率は糖質が最も多く57・4%、次いで脂質26・6%、たんぱく質16・0%の順となっているが、この20年間の推移でみると脂質の増加が特に目立っている。年齢別では20〜40代で脂質エネルギー比率が適正比率の上限である25%を超えて高率で、同省では「脂質の過剰摂取は肥満や高脂血症ばかりでなく、心臓病や大腸がんの一因ともなるので、今後とも生活習慣病予防の観点から注意が必要」と呼びかけている。

 

(教育家庭新聞98年12月12日号)