遠い研究所を理科実験室に

葉の働き“目で確認”

東京・世田谷区立旭小学校

第34回都小視研究大会

第44回東京都小学校視聴覚教育研究大会が2月19日、東京・世田谷区立旭小学校で開かれ、公開授業と研究協議が行われた。

4つの公開授業のうち、5年生の社会科・私たちの生活と国土「環境を守る森林の働き」は、テレビ会議システムとインターネットを活用した。

 まず、テレビ会議システム(PICTURE TEL)で茨城県・東海村にあるNTTの研究所と結び、NTTの研究者に排気ガスと葉っぱの画像を映し出してもらった。

 排気ガスのすす1万倍の映像は、豆粒のような無数の粒の固まり。2万倍にするとさらに大きくなり、その映像を見ながら、子どもたちは排気ガスが「空気の中に入って、人や植物の中に入っていく」と実感したようだった。

 また、あらかじめ送っておいた、校庭の葉っぱと環状8号線沿いの葉っぱの映像を比べ、排気ガスが葉っぱに影響を与え、葉としての機能を弱くしている様を実際の目で確かめた。日常では見ることのできない映像をリアルタイムに見て、子どもたちは新鮮な感動を得たようだった。

 次に、和歌山県龍神村の大熊小学校とテレビ会議で交流。大熊小学校は山間部にある全校児童10人の学校。子どもたち同士の言葉で、お店や人口、など互いの環境の違いを話し合った。

 「私たちの生活と国土」は15時間扱い。このうち小単元「環境を守る森林の働き」は7〜10時間目。

 家庭科室で行われたこの日の授業では、ダイアルアップルーターで6台のコンピュータをインターネットに接続。テレビ会議の後、子どもたちは6グループに分かれて、検索エンジンの「YAHOO!きっず」で「ごみ」や「地球温暖化」と入力して表示されたホームページをランダムに調べたり、岐阜大学やWNNのホームページを見ていった。

 授業ではこの後、京都国際会議や環境問題のホームページにアクセスして森林の減少問題を捉えたり、自然保護についてグループで話し合う、テーマを決めて資料を集め新聞を作る、森林と生活と国土の生かし方について考えていく。

公開授業後に行われた研究全大会で、東京都小学校視聴覚教育研究会の宮崎浩明会長は「コミュニケーションの手段としてのネットワーク。共通課題を持ち、コンピュータネットワークを活用することで、生きる資質を養っていきたい」と研究の目的を指摘していた。

 

(教育家庭新聞98年3月7日号から)