「遊び」から社会性を

積み木で表現力養う
港区立芝浦幼稚園

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 昨年の12月16日、港区立芝浦幼稚園(平成10・11年度港区教育委員会研究奨励園)で、研究主題「幼児期にふさわしい知的な発達を促すための環境の在り方を探る」の公開保育と研究発表が開かれた。
 大学や企業が林立する都心にある同園は、園児のほとんどが高層住宅で生活しているため、幼児同士が触れ合う機会や自然・地域社会から生きた知識を学びとる経験をもちにくい環境にあるのが特徴。このような背景のもと、同園での早期教育は、園児が社会性を身につけ、自然・社会との触れ合いの中から知識を習得するための、重要な場を提供している。
 公開保育や研究発表で、園児の積み木遊びとドッジボールが紹介された。積み木遊びは、園児が自分の思い描く形のものを積み木で作ることによって、自己の目標を実現するための創造性や表現力を高める効果がある。また、ドッジボール遊びの事例では、入園当時は小人数で単純にボールを投げ合って楽しんでいた園児達が、友達との人間関係ができるに従って、大人数によるルールを定めたゲームに遊びを発展させるようになる。
 このように遊びのルールに気づき、条件付きの遊びを成立させるために自己の感情をコントロールすることを身につけていく。そして相手との協力関係を築いていく過程を通じて社会的な行動のとり方を習得し、他人への思いやりを持つようになると考えられる。
 同園での指導では、幼児期における知的な力は幼児の遊びを充実させることによって培われ、幼児は遊びの中で様々な経験や学習をして知識を蓄積するものという考え。そしてそれは単なる知識に止まらず、幼児がこれから先の人生で、自分の生活を豊かに想像するための知恵として、知的な力を育んでもらいたいと同園は願っている。
(教育家庭新聞2000年1月29日号)