「ふれあい学習」の成果発表

注目集める墨田中の実践
墨田区墨田区立中学校

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 東京・墨田区の曳舟文化センターで2月5日、墨田区立墨田中学校(平成9・10・11年度墨田区教育委員会研究奨励校)の学習発表会及び研究発表が開催された。当日午前9時の受付開始から大勢の参観者が会場に参加、同センターの大ホールは早々と満員になった。同校の推進するふれあい学習に対する、教育関係者からの反響の高さが裏付けられた。

 生徒による学習発表会では、同校がこれまで数多く実施してきた学習計画から、保育園や老人ホームでのボランティア体験、団子製造販売店での職場体験、伝統芸能「かっぽれ」の実演・歴史学習が紹介された。ボランティア活動を通じた保育園児や老人、障害者との接触は、核家族化が進み、地域との関わりが希薄になっている都市部の生徒が、自分と離れた世代との交流を保ち、障害者が抱える日常生活での苦労を知ることのできる貴重な体験となっている。
 職場体験は商品の製造・販売過程を体験した。日頃買い物をしている近隣のお店で、働く人たちの姿を見る良い経験が得られる。このような体験は、生徒が将来の進路を決定し社会人として自立する上で、大いに参考となるもの。
 2年生の発表として、2年B組とC組の5名が地域に伝承される舞踊「かっぽれ」を実演した。同校周辺は、新興マンションと共に、昔ながらの伝統文化・工芸を守る職人が生活する地域にあり、また、下町の人情味あふれる地域住民は学校行事に協力的であることから、このような伝統芸能を生徒に体験させるには良い土地柄にある。日常の練習を通じて地域住民との交流が盛んになり、自らも伝統文化の伝承者となる。

時間数の工夫
 生徒による学習発表会に続いて、同校の進路研究プロジェクトの研究発表が行われた。研究主題を「総合的な学習で深まる進路指導の実際−地域とともに【生きる力】を育む ふれあい学習」とした同校のふれあい学習は、平成12年度から平成14年度までの2年間、新教育課程の移行期間を視野に入れてカリキュラム計画。総合的学習を組み入れた平成12年度の授業時間数の工夫として、同校は次の5点をあげている。
 (1)全学年「総合的な学習の時間」を週1単位時間(年間35時間)とする、(2)総合的学習は、学年単位で行い指導は当該学年全員の教師が当たる、(3)基本的には、1年間を通じて1つの形を固定して実施するが、必要に応じて他の時間に移動する、(4)1単位時間を50分とし、臨機応変に他の時間と組替えることのできる時間割とする、(5)授業時間の1単位時間の弾力化(モジュール等)は今後の課題とする。

土曜日を活用
 総合的学習は、1・3・5週の土曜日に2回分の2時間を設定し、学級活動を合わせると連続3時間がとれるように計画されている。土曜日に設定することの利点として同校があげているのは、時間割の固定、土曜日に休日を取る地域住民の協力が得られやすい、時間講師の受持ち時間が少ない、土曜日を「ノーカバンデー」とした週5日制への対応などがあげられる。また問題点は、新教育課程の完全実施時には土曜日が休日となることを考慮して計画を考える必要があること、3学年を同一時間に設定したことによる、施設利用の調整などを上げた。
(教育家庭新聞2000年3月25日号)