200台を超すパソコン

 

桜丘女子学園

自立した女性を育成

 桜丘女子中学・高等学校は大正十四年、「女性の自立」を建学の精神に設立、創立七十二年の歴史を持つ。来たる時代を見据え、@情報教育A英語教育B進学教育を、重点に置いている。

 「二十一世紀は、コンピュータが社会だけでなく家庭の中にまで入ってくる。コンピュータを道具として使いこなし、英語を駆使できる能力を身につけることが、自立した女性”に直結してくる」と乙川博士校長。

 いわば、「情報と英語のコンビネーション教育」が重要だと強調する。

 同校の英語、情報教育にかける熱意は、設備はもちろん教育プログラムにも現れている。オーストラリア、アメリカに姉妹校を持ち、毎年数人が交換留学する ほか、夏休みには約一ヵ月間のサンフランシスコでの語学研修、アメリカ・オーストラリア・シンガポールの三ヵ国・4コースの中からコースを選択させての短期研修制度など、全生徒がどれかに参加することになっている。また、外国人スタッフも、専任五人を含め、八人のスタッフをかかえ、英語コースの生徒は放課後毎日、ネイティブたちと少人数で会話劇をするなどして実力アップを図っている。

新しい情報教育を目指して

 コンピュータは全校で二百台を超え、情報処理室1にLAN環境でFM−Vが四十一台、情報処理室2にマッキントッシュとFM−TOWNSが約六十台、情報処理室3にFM−TOWNSが約五十台。情報処理室1は、情報システム科が専用で使い、同2、3は英語コースや普通科特別進学・総合進学コース、調理科が使う。

 また、昨年開校した中学校には普通教室で授業ができるように、各教室には二台のパソコンが設置されているほか、学年ごとに専用のノートパソコンが二十五台づつ導入され、授業では一人に一台の環境である。

この他に、英語科の要請で、二十五台のマッキントッシュを持つCALL室がある。ここは英語環境のみの教室で、全パソコンがインターネットに接続している。

 ある日の情報システム科の授業。三年生の課題研究(週四時間)で、二人一グループになって、一年間かけて一つのマルチメディアソフトを作成している。生徒たちがTool Bookという支援ソフトを使って作っている作品は、写真や料理中の焼く音などを取り込んだ「お料理の作り方紹介ソフト」や、「楽しみながら勉強できる学習ソフト」、「神経衰弱で学校紹介」「クロスワードによる職業適性検査」などユニークなもの。今年は“何か役に立つものを”と指示を与えたためか、エデュテイメント的なソフトが多い。

 昨年の作品を見ると、「都電荒川線沿線紹介」など、写真と絵と音を駆使した立派なソフトができ上がっている。商用のものと比べても、遜色はないようだ。授業担当の峯岸清先生は、「自分で写真を撮りに行ったり取材して作ったもの。予想以上のものができ上がった。」と誇らしげにいう。

  情報システム科では、情報に関する専門科目を三年間で二十八単位履修する。そして、国家試験である第二種情報処理技術者試験の合格を目指しているが、平均合格者年齢が十四、五歳で大学生でも難しいというこの試験に、毎年合格者を出している。一昨年は三十一人中七人、その前は三十人中十四人が合格しているおり、高校生がこんなに合格している例はめずらしい。

各教科で道具として活用

 また、普通科総合進学コースには、週四時間、コンピュータ1、2という科目があり、ワープロや表計算、グラフィックソフト、音楽MIDIソフ等を使って、リテラシー教育をしている。また、調理科では週二時間、「家庭情報処理」の科目で、表計算ソフトを使って栄養計算を行ったりレシピを作成したりとその生かし方を学んでいる。さらに、英語コースや普通科総合進学コース・特別進学コースでも、英検2級・準2級・3級対策、高校数学グラフツール、高校世界史などのCAIソフトを使って、適宜自学自習に活用している。コンピュータ教室が昼休みや放課後も開放されているのが強みで、今後、大学入試センター試験対策(英語、社会)など、主に所有している英語、社会科のCAIソフトに加え、5教科のソフトを充実していこうとしている。

 さて、こうした中で同校が今後大きく推進しようとしているのが、インターネットを活用した新しい情報教育である。インターネットを使って、異なる世代・地域・言語の人々との交流を図り、これからますます必要になるプレゼンテーション能力やコミュニケーション能力を養っていくことをめざしている。

オーストラリアの姉妹校とはすでに英語で生徒同士がEメールを交換しているが、姉妹校に日本語環境が整う5月からは英語と日本語のEメールのやり取りを行い、相互に役立つような交流を考えている。また、国内でも同じ私学の八戸工業大学第一高等学校や岡山学芸館高校など多数の高校とEメール交換をしているほか、一般社会人や大学生とのEメール交換を通して貴重なアドバイスをもらっている。

また、昨年10月には生徒の作成したホームページも公開され、なかなかの評判である。 現在は情報1の教室はインターネットに接続しているコンピュータは一台しかないが、9月にはプロバイダーへ専用線接続し、自前のサーバーを置き、情報1の教室のコンピュータがすべてインターネットに接続できるので、新たな教育展開がはかれるため、今からその準備に余念がない。情報システム科主任の小宮晴美先生は、

「インターネットを活用して課題研究の情報収集などにも用いたい」とその意欲を語る。

URL http://village.infoweb.or.jp/~sakura/

または http://village.infoweb.or.jp/~fvba8203/

 

 

(教育家庭新聞96年6月8日号)