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えらい人、年頭の所感

 2005年となり、大臣など責任ある立場の人たちが、年頭の所感をサイトに掲載している。それぞれの立場の人が「教育」やそれに関連する事柄について、どの様に言及しているのか、ざっと目を通してみよう。


 
小泉純一郎氏(総理大臣)
まず、所感から。「国の補助金の削減、国から地方への税源移譲、そして地方交付税改革を同時に見直す三位一体の改革をさらに推し進め」る事を明言した。
年頭記者会見では、憲法改正について質問され、その答えとして「具体案を示していくよう、これから精力的に準備作業を進めていきたい」とした。
中山成彬氏(文部科学大臣)
http://www.mext.go.jp/b_menu/soshiki/daijin/nakayama/05010401.htm
 文部科学大臣である中山氏の年頭所感。基本的には、昨年までの氏の主張の踏襲となっている所感。
・教育の根本法である「教育基本法の改正」
・全国学力調査の実施などを通じた「学力向上」
・専門職大学院の設置や教員免許更新制などの「教員の質の向上」
・「現場主義」に基づいた学校・教育委員会の改革
・「義務教育費国庫負担制度の改革」
 5つの改革案がメイン。氏は、「これらの改革を今後2年で仕上げる」事を今後の目標に掲げるとしている。
 

また、学力低下傾向についても言及した(昨年末に相次いで出た国際的な比較の結果によって明らかになったもの。『国際的に見て、日本の学習到達度は悪くない、らしい PISA調査』http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/04120101.htmや、『数学・理科の成績国際調査結果発表 日本の成績は下降傾向』http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/16/12/04121301.htmなどを参照)。

その具体的な対策として

「教職員定数改善計画を着実に実施」
「少人数・習熟度別指導や発展的・補充的な指導等を一層充実」
「「学力向上アクションプラン」を引き続き実施」
「「読解力向上プログラム(仮称)」を推進する」
「学習指導要領の全体の見直しに着手」
「全国学力調査の実施、評価システムの開発」

を挙げている。

奥田碩氏(日本経団連会長)
http://www.keidanren.or.jp/japanese/speech/20050101.html
  氏は、冒頭で「活力の源泉である企業が、その能力を最大限に発揮できるよう、法律・制度の見直しを含めた環境整備が急がれる。また、国民が新たな安心を得られるよう、税制・財政・社会保障制度の一体的改革に取り組むことも重要である」とし、その為に5つの方向性を打ち出している。その4つ目が教育。

基本的な方向としては、「教育現場に競争原理と評価制度を導入し」「教育の質の向上と教育現場の活性化」をはかるべきであり、教育基本法は早く見直すべきだ、という立場をとる。

北城恪太郎氏(経済同友会 代表幹事)
http://www.doyukai.or.jp/chairmansmsg/comment/2004/050101a.html
 「日本の成長を支えてきた国内の諸制度は、内外の変化に対応できず、既にその有効性を失って」おり、「『この国のかたち』を再構築すべき」と述べる北城氏は、「「ゆとり教育」か「詰め込み教育」かといった、実証的な裏付けに欠ける議論に費やす時間はない」と、現状の教育関連の議論をばっさりと斬る。
 
「「次代の日本を担う人材の育成」という視点に立って考えるべきだとし、そのための教育改革のランディングポイントとして
 
「子供達と直に接する教師の意欲を高める」
「国の役割は基本的な改革の方針決定にとどめ、思い切って地方・学校に権限を委ねていく」
 
という主張を展開している。

榊原