新春コラム “ネット”がむすぶ人と情報@

 

進むインターネット導入

全国に誕生、教職員のネットワーク

2001年までに全国の公立中、高等学校を、2003年までに全公立小学校をインターネットに接続するという文部省の方針が示された。計画通りにはなかなか進まないだろうが、「近い将来」(中央教育審議会第1次答申)から明確に時期が特定されたことは、大きな前進だろう。

現在、インターネットに接続されている学校はまだ少ない。しかし、接続校の数及び1学校におけるインターネット接続台数は少しずつ増加しつつある。また、同じ学校を日を置いて、取材してみると、最も変化が認められるのが、ネットワークの広がりである。

1台しかインターネットに接続していなかった学校がいつのまにか、56台を接続するようになっている。パソコン教室しかLANが組まれていなかったものが、多目的スペースや普通教室にもケーブルが延びていることもある。そして、これらのLANの構築は、その必要性を感じた教員と生徒自身の手によってなされている例も多い。地域のボランティアが手助けしていることもある。

インターネットの機能の一つ、電子メールは遠く離れた相手に瞬時に用件を伝えられるものとして、また海外の生徒や教員と交流する手段として欠かせない。この電子メールを生徒全員に発行している学校もある。もちろん、校種・学年によりグループ単位、高学年だけなど、その発行の仕方は慎重に考えないとならないが、本紙の確認では、生徒全員に発行している学校は昨年1月時点で中学・高校で約5校だったが、その数は増加していると予測される。

前橋市立第四中学校の折田一人先生は、「 メールは個人の道具。情報教育の観点から見ても、正しく教える必要がある 」と全員に発行する意図を語る。

各学校の取り組みは徐々に進んでいる。課題は先進校とそうでない学校のネットワーク環境及び教員の経験の大きな隔たりだろう。例えば小学校では、パソコンが1台も導入されていない学校が約2,000校もある。中学校ではほぼ100%の学校に導入されているものの、インターネットに接続できるWindows95マシンの割合はまだ、少ない。インターネットに関連する技術、知識にも大きな差がある。

平成6年度にスタートし、日本における学校でのインターネット利用に先べんをつけた100校プロジェクトは、何を残したのか。「学校や教室が世界と地域に広がった」とコンピュータ教育開発センターの岡本昭常務は指摘する。

今、その成果・課題は新100校プロジェクトに引き継がれ、様々なプロジェクトが展開されているが、取材記者として最も目に付くのは、先生方のネットワークの広がりである。

校種・教科を超えた全国的な、また地域的な無数のネットワークができ、それらのネットワークには、教員だけでなく大学生や会社員も加わっている。メーリングリストの数は、非常に多い。それは教育研究の大きな力となる。

そして、100校プロジェクトに続き、スタートした1000校プロジェクトとも言われるこねっと・プランは、この4月から、全国約4万校を支援対象とする方針を打ち出している。

これまで、学校はとかく、その閉塞性が問題視されてきた。いわく「学校という殻に閉じこもっている」「実社会のことを知らない」・・・。しかし、そのマイナス面を最も認識していたのは、学校の先生自ら。インターネットは、学校を開き、世界・社会と交流する格好の道具となっている

(教育家庭新聞11日号から)