教育家庭新聞ニュース

新100校プロジェクト成果発表会が開催

地域との連携や普及事例を報告

 

 新100校プロジェクトの成果発表会が3月4日、情報処理振興事業協会及び財団法人コンピュータ教育開発センターの主催で開かれた。

 午前から午後にかけて、小学校部会、中学校部会、高等学校部会、テーマ部会の4会場に分かれての分科会、その後全大会が行われた。

 小学校部会の一つ、札幌市立幌南小学校の藤村裕一先生は、世界の仲間・長期海外旅行中の日本人と一緒に調べたゴミ・プロジェクトなどについて発表しながら、「人、そして人と人のつながりのすばらしさについてこどもたちは体得している」と振り返る。

 宇都宮大学教育学部付属中学校の金橋寛明先生は、「インターネットが先生方の間に浸透している。学校全体がインターネットがないと、立ち行かなくなっている」と3年間の実践で校内に普及している様について。60台あるコンピュータは休み時間や放課後に開放。生徒全員がメールアドレスを持っている。

 東北学院中学高等学校の名越幸生先生は、茶髪やピアス、飛び級制度などをテーマに約5校で行ったネットワークを利用したディベートについて。都立光明養護学校の伊藤守先生らは、CU−SeeMeを使った在宅学習支援の実験などについて報告しながら「ネットワークは大きな教育効果をあげられる」と強調した。

新100校プロジェクトの21の重点企画(当初の22企画のうち1企画は中止)に関係する発表では、Javaを利用しWeb上で動作するソフトの共同開発について、実際に共同作成したソフトを映しながら報告。これは、他の先生が作ったソフトを改良して実行することが可能となるもの。利用するだけならホームページを見ればよく、ダウンロードの必要もない。 

http://www.cec.or.jp/kenkai/jsoft/jsoft.html

 また、「地域展開」(グループ交流型)について、大分県立日田林工高校の川津文昭先生がまとめた。日田地域では、「日田インターネットの会」のボランティアグループがネットワークの運営に大きく係わり、自宅への技術支援出張サービスなどもしている。メーリングリストもある。地域展開上の課題は、行政・教育・民間の連携及び小中学校との連携、そして人材という。

 全大会では、文部省中学校課の河村潤子課長、通産省情報処理振興課の安延申課長の挨拶、岡本昭・コンピュータ教育センター常務の報告の後、パネル討論「地域における教育ネットワークの展望と課題」が行われた。

パネル討論で、前橋市立第四中学校の折田一人先生は、校内での実践と同時に今年度からLAN間接続が開始する前橋市のネットワークにも深く係わりながら、インターネット・ネットワークを広げていくためには「ボトムアップとトップダウンの結合。そして人(意識)を育てることが重要」。また、林英輔・山梨大学教授は「ネットワーク担当者の学校における位置づけをしっかりする必要がある。」と。司会の坂元昂・メディア教育開発センター所長は、「インターネットはこころを増幅する。悪い心があればそれが増幅される。良いこころを育てなければならない」と語った。

(98年4月4日号から)