来た来た!! 新教科「情報」
都立足立新田高等学校 島岡恵一先生
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教育マルチメディア新聞2002年3月3日号
  入試倍率2倍を超えるという人気校、都立足立新田高校。墨田川を背にそびえる学び舎は、テレビ番組「3年B組金八先生」の収録が行われたことで今、全国から注目を集めている。しかし、注目の的となっているのは校舎だけではない。そのユニークな授業形式にある。

 かつて中退や不登校など多くの課題を抱えていた同校では平成11年度入学生より、普通科目以外に「スポーツ健康系」、「福祉教養系」、「情報ビジネス系」の学系列選択科目制を設置。2、3年次に週6時間、「生徒の興味・関心を深める」授業を展開している。

 情報ビジネス系では、2年生でワープロや数学を取り扱うほか、情報Aを先行実施。また3年生ではマルチメディアや推論・数的処理などを行っている。
 情報Aは週2時間、3つのパソコン教室に分かれて実習を中心に展開。1学期には、ペイントを使いオリジナルTシャツを作成しながら、基礎操作を習得する。2学期にはDTPを使ってPOP広告を作成したり、表計算ソフトで定額預金の推移をグラフ化する一方、専門学校でMacやDTPソフトを体験学習する。そして3学期。CDラベルやMIDIデータを作成するほか、東京都青少年センターやドコモタウンなどでの校外体験学習を取り入れている。

 一方、3年次には1年をかけ、コンピュータミュージックを作成。お気に入りのアーティストが奏でる1曲分の楽譜をMIDIデータ化する。ソフトはレコンポーザ(カモンミュージック)のライト版を使用。2分割された画面には、右側に五線譜、左側に音符に対応する3桁までの数字が並ぶ。生徒はプログラムと五線譜を見合わせ、1音ごとに長さや強弱、和音を指定し、編集作業を続ける。

 まず、プログラム・バンクと音色、音量、音の定位を設定。トラック上で編集を行っていく。五線譜上には小節区切り線を入れ、空小節を作成。その後、ド、レ、ミ…に対応するコードD、F、G…を入力。キーボードを鍵盤にみたて、音の響きやリズムをチェックしていく。ギターを中心としたメロディラインと同時にベースやピアノなどの音色を加え、パートごとの響きやバランスを聞き分けながら、訂正を繰り返す。

 島岡恵一先生は「講義より、生徒を惹きつける体験を提供したかった」と話す。2時間続きの授業だが、生徒はじっとモニタ画面と楽譜に目を配りっぱなし。「響きへのこだわり」は、オリジナルの曲も生み出している。

 2曲目の制作に取り掛かる生徒は、「頭の中に音楽が浮かぶ。ベースやドラムのリズムを加えるのは難しいけれど、メロディにどんどん厚みが出てくるのがうれしい」とヘッドホンに手をあて目を瞑る。

 サーバに蓄積していたデータは、CD−ROMに保存。オリジナル編曲集が完成することとなる。「演奏者たち」は、パソコン室から同校の特色のひとつを発信している。

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