来た来た!! 新教科「情報」
埼玉県立春日部東高等学校 鈴木成先生
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教育マルチメディア新聞2001年2月3日号
  「再来年度から新教科『情報』がスタートしますが、まったく新しい分野とは捉えていません。情報収集や情報発信などは、すでに各教科で行われる活動の中に根づいているもの。目的を達成するための手段として位置づけています」というのは、埼玉県春日部東高等学校の鈴木成先生。
 また「普段何気なく行っている行為には、情報活用能力が用いられている」と、各教科担当教員が連携し、コンピュータに限らず、新聞や書籍などを問題解決のために利用する場面を提供している。

 さらに「自然と」情報社会に参画している意識を高めるようにと、全校生徒にユーザーIDやメールアドレスを管理させるとともに、本名で参加し、また改ざんができないようにとグループウェアを利用している。
 同校では、平成9年度に「総合的な学習の時間」の研究校として旧文部省の指定を受け、翌10年度から毎週木曜日の6時間目を充てて実践を進めてきた。設定テーマは、情報、国際理解、環境、福祉・健康、その他夏休みに取り組む地域調査の5つ。

 1年生では、初期段階の2時間でコンピュータの基礎的な活用方法を学び、以後各分野について、講演会、「国民総背番号制の導入の是非」「カップ麺の是非」などのテーマについてのディベート、ロールプレイなどを実施。クラス担任の指導の下、すべての生徒が基礎的な内容を学習する。ただし「情報」についてはそのもののテーマを設けず、各分野を包括するものとして位置づけ、他4分野の学習を進める過程でコンピュータによる情報検索、情報発信などを行っていく。

 基礎的な事項を踏まえ、2年生では国際理解、環境、福祉・健康のうち1テーマについて自主課題研究を行う。研究は中間発表を経て論文として提出。普通科においては1000字程度、人文科においては5000字程度の報告書を作成するという。

 「週3回開放しているコンピュータ室の稼働率は7割を超えます」と総合的な学習委員長の金田正富先生。研究発表の時期になると、情報収集やレポート作成に取り組む生徒たちが部活動の合間をぬって詰め掛け、コンピュータはフルに稼働するという。

 一方、ほとんどの生徒が進学を希望するという同校。3年生では「総合的な学習の時間」で自らの進路や生き方を考察する。例えば保母を目指す生徒であれば福祉を、理系を進学先と考える生徒は環境などを選択。2年間で学んだ調査・研究方法を活用しながら学習を進めていく。

 評価は主に、各分野で課している1レポートまたは作品等、2学習態度、3自己評価表をもとに総合的になされる。自己評価は、目的を踏破できたか、努力できたかなど、自分の取組みについて振り返り、1〜5まで5段階で行う。この自己評価表は基礎資料とされるので、本人の評価と担任の評価が大きく異なる場合は、担任との面接等で調整される。また年度末には、A〜Eまで5段階で評価がなされるという。

 新教科「情報」が施行される再来年が迫り、同校では「一層、収集した情報の管理についての適切な対応が望まれる」と課題を提示した。
http://www.higashi-hs.kasukabe.saitama.jp/