新教育課程や情報化に対応−文部省平成11年度予算

 

文部省の平成11年度予算が1月、まとめられた。一般会計は5兆8706億7900万円で今年度当初予算比1・4%増。国立学校特別会計も2兆7260億720万円で0・9%の増加になった。新規・拡充事業を見ると、情報化関連では2002年から小中学校でスタートする新教育課程に対応した研修・講習会事業や高度な情報通信を活用し教育研究する事業が促進されている。

11年度予算の情報関連の新規事業としては、2002年から小中学校で新学習指導要領に基づく教育課程がスタートするのに対応し、3つの研修事業が実施される。
 第1は、「教育情報化推進指導者養成研修」(5300万円)で、新教育課程で各学校種・教科でコンピュータやインターネットの活用が明示されたのに対応し、教科などで指導できる教員を飛躍的に増加させるために、1000人を対象に延べ10日間、25会場で研修を実施するもの。対象は、指導主事、小・中・高校、特殊教育諸学校の教員など。
 第2は、「高校新教科(情報・福祉)指導者研究協議会」(1800万円)。2003年から高校に新設される普通教科「情報」、専門教科「情報」「福祉」に対応し、同教科を担う現職教員に免許を取得させるための講習会の講師予定者を対象に研究協議会を開催する。
 第3は、「新産業技術等指導者養成講習」(5500万円)で、高校の専門8教科、中学技術、家庭の教員を対象に講習会を実施する。
 この他、国立教育会館のホストコンピュータを利用し、各県の教育センターや学校等から各種研究指定校の研究事例などに直接アクセスできるシステムを構築する「教育研究活動に関する情報の提供」も新規にスタート。
 平成11年度文部省予算に盛り込まれた情報化関連の新規事業では、平成10年度の補正予算によりスタートした事業が多いが、以下補正予算から継続する事業を列記する(11年度当初予算では新規事業として計上される)。
 まず、光ファイバーで学校をインターネットに接続する「光ファーバー網による学校ネットワーク活用方法研究開発事業」(6億5700万円)は地方公共団体に事業を委嘱。平成12年度までの3年間、124校で高速の専用線でインターネットの教育利用について研究する。
 「教育情報通信ネットワークの整備等」(12億9800万円)は、18か所の地方公共団体の教育センターなどに、衛星通信の送受信装置や地上系の通信ネットワーク装置を整備するため、整備にかかる経費(1施設あたり1億円)の2分の1を補助する。また、整備した装置を使って情報教育やカウンセリングの研修を実施する。
 また、「私立高校等マルチメディア教育環境整備モデル事業」(5億円)は、インターネットなどの情報通信ネットワークやマルチメディアを組み合わせた視聴覚機器、語学学習機器などの教育活用推進するため、40校の私立にマルチメディア機器の購入費(1校あたり2500万円)の2分の1を補助する。対象は、高校(普通科に限る)、中等教育学校、中学校、小学校及び特殊教育諸学校。
 また、10年度の補正予算で拡充された「学校図書館情報化・活性化推進モデル地域」事業(11億8300万円)は106地域分、「心の教室コンピュータ設置」(4億8000万円)は609校分の予算が計上されている。
 さらに、従来からの継続事業として、「へき地学校高度情報通信設備(マルチメディア)活用方法研究開発事業」(6億5200万円)は、ISDN回線を利用して離島や山間地の学校と都市部の学校12か所を新たに結んで、3年間教育への活用方法について研究する。

(教育家庭新聞99年2月6日号)