早期からタッチタイピングの習得を

ネットワークの教育利用促進
新規事業を設置へ

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 小中学校を取材すると、先進的と言われる学校でも、生徒のキーボードリテラシーは、心もとないことがある。人差し指で時間をかけてトツトツと打っているのを見ることがよくある。国語や社会科、総合的な学習で調べたことをまとめるにも、時間がかかって大変だろうと思わされるのだが。

 そこで、今回は、「早期からタッチタイピングの習得を」と題し特集を企画した。
 野村総合研究所が昨年2月にまとめた日本、アメリカ、韓国、シンガポールの4か国の15歳以上を対象にした調査では、「キーボードを手元を見ないで速く打てる」割合は、他国に比べて日本はかなり低い。また、東京大学社会情報研究所の橋元良明教授が昨年6〜7月に実施し、今年3月にまとめた「小学生(中学生)の情報行動・パソコン利用等に関する日韓比較調査」(左記参照)でも、日本の小中学生のキーボードリテラシーは、韓国の小中学生に比べかなり低いことが浮き彫りにされている。

 タッチタイピング(キーボードを見ないで速く打てる)の能力が、情報を収集し、まとめ、自分の考えのもとに表現し、発信する情報活用能力と関係しないとは言いにくい。また、タッチタイピングまでいかなくても、キーボードリテラシーは、パソコン活用の時間が増えれば向上するが、基本的な技術ではないだろうか。

 文部省は、平成12年度予算の概算要求をまとめた。このうち、情報化事業推進として、新規に校内LANを利用し校内グループウェアを開発・研究する「校内イントラネット活用研究事業」、教育委員会などが所有する教材をデジタル化・データベース化する「ネットワーク提供型コンテンツ開発事業」、中央と地方が連携しネットワークのトラブルなどに対応できるヘルプデスクを設置する「学校情報化支援体制開発事業」、各学校で校内研修を充実・促進するための「教員情報リテラシー向上プロジェクト」、教育情報を総合的に提供するための「教育情報ナショナルセンター機能の整備」など、バーチャルエージェンシーなどの報告に基づき、21世紀のネットワーク社会をにらんだ新規事業を要求している。 

 情報化の推進のため、「校内イントラネット活用研究事業」(新規)として、1億2500万円を要求。推進地域として10地域を指定し、各地域4校程度の協力校を設置。コンピュータ教室、特別教室、普通教室、図書室、職員室などをむすび、校内グループウェアを開発し1学習指導案や指導教材の共有・蓄積2年間指導計画などの作成・管理・共用3電子掲示板による生徒への情報提供、などの活用について研究を行う。

 また、経済新生特別枠で「情報化推進・開発プロジェクト」(新規)として20億円を要求。
これは、
@「ネットワーク提供型コンテンツ開発事業」(7億8900万円)
A「学校情報化支援体制開発事業」(6億8600万円)
B「教員情報リテラシー向上プロジェクト」(5億2600万円)、の3つの事業に分かれる。
@は、各地域の教育委員会などが所有する教材のデジタル化・データベース化を促進するとともに(30件)、各教科や総合的な学習の時間で使えるソフトウェアをネットワーク提供型の共用コンテンツとして開発するのがねらい。

 Aは、インターネットや校内LANの利用のためトラブルが発生しやすくなっていることに対し、民間などの人材の協力を得て、ネットワークシステムやコンピュータなどのトラブルに迅速に対応できるヘルプディスク体制を開発する。1 中央ヘルプディスク体制の開発(相談情報の蓄積・データベース化)、2 地域ヘルプディスク体制の開発(59都道府県・政令指定都市)。
 Bは、コンピュータを操作できる教員は5割を超えたものの、指導できる教員は依然3割以下という現状を改善するため、都道府県などの指導者養成研修と連携し、各学校で校内研修を集中的に実施できる状況を整備する。内容は、1 校内研修カリキュラム・マルチメディア教材の開発(2種)、2 開発教材を活用した校内研修などの実証・支援体制の確立(30地域)。
 @ABとも、通産省、郵政省と連携して行う。

 また、経済新生特別枠で、「教育情報ナショナルセンター(国立教育会館)機能の整備」(新規)に5億112万円を要求。通産省、郵政省とも連携し、教育情報を総合的に提供するポータルサイト(情報発信基地)を開設・運用するための研究を行う。
 具体的には、緊急の教育課題に対応するため、「総合的な学習支援データベース」及び「教育基礎情報データベース」を構築。主な内容は、文部省研究指定校などの、学年別・教科別の授業展開例や教員の自主教材などで、必要な授業例や教員が作成した教材などを瞬時に検索し、引き出せるようにする。

 また、教員向けコンピュータ購入支援制度(オンライン上で希望する機種や仕様などをまとめることで、ディスカウントを実現するなど)や、学校へのコンピュータ寄付を円滑化する仕組みの整備(オンライン上で寄付希望を取りまとめる)を実現する。