エネルギー講座 第14回

JCO事故
最終報告から

【TOPページに戻る】

 11年度に続いてリニューアルした今年度の本シリーズは、原子力発電の安全対策の取り組みを、最新の情報とともにさまざまな角度から紹介していく。環境とエネルギー学習のための情報として役立ててもらう目的だ。
   
 昨年9月30日午前10時35分頃、株式会社ジェー・シー・オー(JCO)で発生した臨界事故は、わが国初の臨界事故であり、150人もの多くの被ばく者と多くの周辺住民の避難・屋内退避などで今も記憶に新しい。その後、原因と経過の解明が進むにつれて、再発防止への適切な対策がどのように講じられるのかに、社会の関心が寄せられた。
 これらの不安や疑問に応えるため、原子力安全委員会・事故調査委員会は原因究明と再発防止の対策を検討。昨年12月24日、「最終報告」をとりまとめ、中曽根科学技術庁長官に提出した。
 ここでは同報告に沿って、事故の経過を簡単に追ってみる。
 事故はJCO東海事業所で、濃縮度の高い高速増殖炉の実験炉「常陽」の燃料(濃縮度18・8%)の作業中に、臨界反応が発生した。これは原子力発電所で使う燃料(濃縮度5%以下)とは、違う製造ラインで行われたもの。
 この臨界反応により、中性子線とガンマ線が放出され、作業中の社員3人を含む人々が被ばくした。
 事故原因は、国が認めた設備および作業手順とはまったく違う方法をとっていたためだった。
 本来は、溶解塔を使用してウラン酸化物の粉末を溶解し、貯塔で混ぜ合せたうえで沈殿槽に移すのが手順。ところがステンレス容器を使用し手作業で直接、沈殿槽に順次投入したために、沈殿槽内で臨界に至った。

 「最終報告」では、国や事業者等に、技術的・防災・包括的な観点から、合計103項目にわたる具体的な対策・提言を行っている。包括的な観点では、1原子炉等規制法の改正など強化された安全規制体制の下で、実効的運用を図る、2事業者には安全管理の認識を継承するシステムを確立する、などが示された。そして、安全社会システムの構築を目指さなければならないと訴えている。具体的には、今後の取り組みのあり方について、「原子力の安全神話や観念的な・絶対安全・という標語は捨てられなければならない」と指摘。その上で「絶対安全」から「リスクを基準とする安全の評価」への意識転換が必要だと述べている。また、安全確保は第一義的に事業者(原子力事業者)にあると強調。「ルール違反が結果として生産性を損なうことを認識すべき」だとし、自己責任原則の確立を求めている。
 国の取り組み方については「原子炉等規制法の改正とその実効的な運用」をあげ、事業者の安全確保策充実の強い指導をするよう求めている。
(教育家庭新聞2000年4月22日号)