エネルギー講座 第2回

電気のベストミックス
原子力発電が電源の中心的役割

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 電気の使用量は、昼と夜、平日と休日、また季節によって、大きく変化するものだ。たとえば、年間で最大となる8月の平日の昼間の電力は、最低となる正月の明け方の3倍以上。8月の暑い1日を見ても、午前から午後にかけて冷房用の電力需要がうなぎ上りになり、午後2時〜3時頃にピークを迎える。このピーク時と、最も消費の少ない未明時では2倍以上の格差が生じている。
 電気は貯めておくことができないので、変動する電力需要に応じて、停電を起こすことなく安定的に供給しなければならない。主な電源には、火力、水力、原子力とあるが、それぞれの発電方式には供給安定性、経済性、運転特性に違いがあるため、我が国ではひとつの電源に頼ることなく、それぞれの電源の特長を生かしたベストミックス(最適な組み合わせ)という方法で電気を作っている。
 石油、石炭、LNG(液化天然ガス)などの化石燃料を燃料とする火力発電は、電力需要の変動への対応に優れている。また、電力供給に余裕のある夜間に水を汲み上げ、昼間のピーク時にその水を利用して発電する揚水(ようすい)式水力発電は、急激な需要の増加にも容易に対応することが可能である。これらの特性を生かして、図のように、時間帯によって電源の割合が異なっている。1日を通して常に運転している原子力をベースに、電力消費の増加に応じて火力や水力発電で、対応するようになっている。

重要なエネルギー原子力発電
 このように石油に代わる主力電源になってきているのが、原子力だ。1980年度と1997年度の発電量の割合を比較すると、石油による発電が約43%から約13%と低下しているが、原子力は約17%から約36%と伸びており、今後も電力供給の中心的役割を果たしていくと言われている。
 では、なぜ原子力発電が石油に代わる電源として注目されてきたのだろうか。
 原子力発電は、ウラン原子核が核分裂をするときに発生する熱エネルギーで、蒸気をつくり、タービンを回して発電する方式。燃料となるウランは比較的広い地域に分布し、原産国の多くは政情が安定しているため、安定的に確保することができ、石油などに比べてごく少ない量で大規模な発電ができるため、輸送や貯蔵も容易。そして、一度燃料のウランを原子炉に入れると、1年間は燃料を取り替えずに発電できる。また、発電コストが燃料費に左右されず、経済性も高い。さらに、原子力発電は運転中に二酸化炭素や硫黄酸化物などを排出しないクリーンなエネルギーであり、今後より深刻になっていくであろう地球環境問題の解決を図る上でも、重要な役割が期待されている。
 これらのことから、原子力発電は、資源が乏しく、エネルギーの約8割を輸入に頼っている日本にとって、なくてはならないエネルギー源といえる。
(教育家庭新聞1999年4月17日号)