エネルギー講座 第8回

新エネルギーのメリット・デメリット
クリーンで無尽蔵 でも実用化に課題

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 石油の代替エネルギーとして注目を浴び、開発が進められている太陽光発電や風力発電などの新エネルギー。これらのエネルギー量は膨大で枯渇の心配がなく、発電時に二酸化炭素などを排出しないなど環境にやさしいメリットをもち、将来の発電方式の一つとして期待されている。しかし天候や時間的なものに左右され、また火力や原子力と同じ発電量を得るには広大な面積が必要であり安定供給が望めないというデメリットももっており、これらの課題を解決するべくメーカーや電力会社でさまざまな研究や開発が行われている。

太陽光発電
 新エネルギーの中でも、特に期待されている太陽エネルギー。このエネルギーを利用した太陽光発電は、太陽の光を受けると電気エネルギーを発生する一種の半導体「太陽電池」を活用したもので、太陽光さえあればいかなる場所でも発電が可能。さらに規模の大小に関わらず効率が同等なので、発電コストの高い離島をはじめ、一般家庭での利用が進んでいる。しかしこのようなメリットをもつ反面、デメリットとして太陽電池のエネルギー変換効率が低いため、まとまった電力を発生させるには広大な面積が必要となること、また天候に左右され、雨・曇りの日や夜間は発電できないなどの課題も多い。
 1996年度現在で全国の導入実績は約5・7万kWであるが、2010年までには500万kWを導入目標としている。今後の普及拡大のために、発電効率の向上と、さらなるコストの低減のための開発が進められており、一方、電力会社でも、各家庭で保有している太陽光発電設備で発電された余剰電力を購入するメニューを設け、その普及を促進している。

風力発電
 風車、帆船など世界各地で古くから利用されてきた風力エネルギー。風力発電は、この風力エネルギーを風車で回転力に変え、これにより発電機を回して電気を起こす仕組み。自然の気まぐれなエネルギーである風をいかに効率よくとらえるかが技術上のポイントになっており、現在ではプロペラ型風車が、自然の風から安定した高出力を得やすい優れた風車と考えられ、世界的に主流となっている。メリットは、太陽光と同様枯渇の心配がなく、発電時の二酸化炭素の排出がないこと。またデメリットは、風向きや風速に季節的、時間的な変動があり、地形や気象の影響を受けやすく、発電が不安定なこと、風車が回転する時に騒音が発生すること、設備にかかるコストが高い等がある。
 第1次石油危機以降、アメリカ、カナダ、オランダ、デンマーク、スウェーデン等で風力発電機の開発と設置が進められ、特にアメリカでは1993年度までに設備容量が約170万kW以上になっている。わが国では、1981年より導入が進み、1997年度末で約2万kWが導入されている。
(教育家庭新聞1999年10月30日号)