環境に取り組む企業第20回

J S R 株式会社

ISO14001全工場が取得
社会的な環境と安全意識

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 一時は公害の代名詞と呼ばれた三重県四日市市。「林立する工場群の煙突から吐き出される黒煙。スモッグに覆われた空は、日中でも太陽の光を遮っている」。こんな昔のイメージをお持ちの方も多いと思われるが、今の四日市はまったく違う。公害を踏み台として世界に誇れるクリーン都市に変貌。青く澄みきった昼間の空、夜は満天の星を鑑賞できる、と語るのはJSR株式会社(東京都中央区築地2−11−24社長松本栄一氏)環境安全部井浦里志部長。

 本シリーズ20社目で紹介するJSR社は、合成ゴム事業で我が国第1位、世界で5位のリーディングカンパニー。近年は高分子技術を光化学や有機合成化学に応用し、成長著しい「情報」「通信」分野に展開、光・電子関連に材料を提供している総合化学材料の会社。戦後の日本、全ての原材料が輸入に頼っていた頃の1957年12月「合成ゴム製造事業特別措置法」によって生れた会社で、スタート時の社名は日本合成ゴム株式会社。1997年12月10日の創立40周年の記念日にJSR株式会社に変わった。
 冒頭に登場した四日市市には同社の主力工場がある。スタート時から「公害発生源企業」として厳しい批判の目にさらされたこともあり、環境・安全対策は最大の企業努力テーマとなった。その成果として現在ではSOx(硫黄酸化物)の排出を極限に近い状態(世界に先駆けて実用化を行った排煙脱硫装置を設置)にしたほかNOx(窒素酸化物)COD(化学的酸素供給量)など環境対策は全て目標値をクリア。四日市、鹿島、千葉の全工場がISO14001の登録認証を受けている。

 同社の環境対策は「レスポンシブル・ケア」活動として全社的に推進されている。推進本部長は社長、下部組織にPLP、品質保証、安全、環境、事業所の各委員会を設置して真剣な対応が進められている。「化学企業で大規模災害を起こすと、企業の存立にかかわる」という危機感により、全従業員3000名の安全意識は非常に強い。レスポンシブル・ケアとは・化学物質を製造し、または取り扱う事業者が自己決定、自己責任の原則に基づき、化学物質の開発から製造、流通、使用、最終消費を経て廃棄にいたる全ライフサイクルにわたって「環境・安全」を確保することを経営方針において公約し、安全・健康・環境面の対策を実行し改善を図っていく自主管理活動・と明記され、現在108社の化学会社が参加している。
 地域社会との交流、積極的な情報開示も同社の環境・安全姿勢を示す特長の一つ。レスポンシブル・ケアレポートが分かり易いイラスト入りで各工場単位で制作されているのもユニークで、地元住民や小・中・高校生の見学会に対応している。
(教育家庭新聞2000年2月26日号)