環境に取り組む企業M

充電式電池回収作戦を展開
学校・PTAに協力呼びかけ

社団法人電池工業会


 私たちの生活に欠かすことのできない存在になっている「電池」。懐中電灯などの各種照明器具、時計、玩具。ラジオ、VTRなどの家庭電化製品からコンピュータ、自動車まで「電池」は近代産業製品のエネルギー供給源として用途、種類ともに拡大の一途、昨年一年間の消費量は実に36億5千万個(国民1人当り年間25個使用)に達している。
 「電池」は単1、単2、単3と呼称される使い捨て乾電池を中心とする「一次電池」と、充電して繰り返し使える「二次電池」に大別され、携帯電話、ノート型パソコン、CDウオークマンなど多用途に使用されている。機器の技術進歩と形状の変化に対応するため急速な進歩向上が計られ、種類も100以上になっている。

 わが国の電池生産メーカーは社団法人電池工業会加盟の16社。同会が現在真剣に取り組んでいるのが再生のできる「二次電池」のリサイクル活動。電池生産1本当り20銭の環境対策費を計上、1985年のニカド電池リサイクルから活動を開始。今年は6月1日から11月11日の電池の日までの5ケ月半「小形充電式電池リサイクル大作戦」を大掛かりに展開中だ。
 キャンペーンの方法は1電気店、生協、スーパー、ホームセンター、電動工具店、など1万300店の店頭にリサイクルボックス=イラスト=を置く2消費者に専用の回収袋を配布、ニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池などの二次電池をリイサクルボックスに投入3袋に住所・氏名・年齢が記入してあるので抽選で5組10名をオーストラリア5日間の旅にご招待。信州産りんごを200名に、魚沼産コシヒカリを200名にプレゼントするもの。
 「今年は相当盛り上がっています」(坂根稔将同会環境・リサイクル担当部長=写真=)というが、末端までの浸透には今一つ隔靴掻痒の感。成果はあと4ケ月のPR展開にかかっている。「私は学校の生徒さんが充電式電池を集めて頂ければ環境の体験学習としても良いと思うのですが」と坂根部長は「学校・生徒・PTA」を含めた回収作戦に次の焦点を当てているようだ。

 社団法人電池工業会(会長安田幸伸氏東京都港区芝公園3丁目5番8号機械振興会館内)は正会員23社、賛助会員56社で構成され、規格・基準の標準化作業とともに「使用済み電池の再資源化事業および環境保全対策」に幅広く取り組んでいる。団体では珍しく「社団法人電池工業会は事業と環境の係わりを認識し環境と調和する活動・製品・サービスを通じ全人類がその人間性を十分発揮できる豊かな社会の地球規模での実現に積極的に取り組みます」の環境憲章を持つ。
 乾電池には微量の水銀が使われていたために・環境上電池は簡単に捨てられない・というイメージが消費者に定着しているが、平成4年1月以降乾電池に水銀は一切使用されていないので燃えないゴミとして投棄することが現在は認められている。このことも含めて工業会の広報活動の一層の積極的展開が期待される。
(教育家庭新聞99年8月21日号)