学校給食Q&AF

教室とは違った雰囲気の中で

              秋田市立八橋小学校 栄養士・古宇田靖子

 

Q 学校給食の時間に行われているバイキング給食とは、どのような形態のものですか。そこで出されるメニューやその教育的意義について教えて下さい。

A 日常の給食は、授業で使っている机の上にナフキンをしき、お盆を上げて食事をしています。子どもたちはそれが当たり前のことと過ごしていますが、いつも使っている教室とは違った雰囲気の中で、ワクワクするような楽しい給食会を年に一回でも経験させてあげることはできないものか考え、工夫をしながら実施しています。
 【形態について】
 バイキング給食=ホテルの様な型式で、一か所に料理を並べ、子どもたちは席を離れそこから取り分ける。慣れていないと取り分けるのに迷うことが多く、時間がかかる。
 テーブルバイキング=料理をグループごとにテーブルの真ん中に並べておく。子どもたちは自分の席を立たずに取り分けることができる。
 全校バイキング=体育館に敷物をしいて座って食べる。料理は何か所かに並べて置かれている所から取り分ける。この方式は準備が大変で、先生たちの目が届かなく、かなり騒々しくなるが子どもたちにとっては印象深い給食会となる。
 【食環境について】
 以前は、理科室や家庭科室の空いている時に借りて行っていましたが、今は空き教室を一室借りています。
 壁や黒板に明るい色のカーテンを張り、天井には給食委員の子どもたちが作った紙輪を飾る。テーブルは余っている子どもたちの机7個を使い、6人が座れるように組み合わせてその上にテーブルクロスをかけ、中央に季節の花を飾り、グループを作ります。
 【グループ分け】
 1全学年、一クラスから二、三人を出す2町内別3他学年との組み合わせ。その時によって分け方は違いますが、必ず一人一回は参加できるように割り当てます。また、学級担任はもちろん、校長、調理員、校務員等全職員も必ず一回参加するようにしています。
 【献立】
 調理作業、衛生面、給食時間等の制約がある中で、子供たちに人気のあるメニューを考えます。
 例1・(主食)のりまき、いなり寿司、おにぎり、パン類(主菜)ハンバーグ、肉ダンゴ、魚のホイル焼、揚げ物(副菜)おひたし、あえもの、生野菜(デザート)ゼリー類、生パイン、みかん、りんご。これらの中から栄養バランスと色どりを考えて、2、3種類を決めます。汁物はポタージュ、スープ、みそ汁などから一種類選び、牛乳は必ずつけます。
 例2・主食・主菜・副菜・汁物・デザート類それぞれを一種類とし、その量を多くします。この場合、全部中華料理などと統一します。
 【子どもたちの様子】
 年に一、二回、他のクラスのお友達と一緒にレストラン風の環境の中で、いろいろな種類の食べ物があるということで、部屋に入った途端に子どもたちは興奮状態になります。各担任に事前指導をしていただいていますが、食べ過ぎる傾向にあるようです。しかし、回を重ねれば自然に身につくと考えているので、皆で食べる食事の楽しさを感じてもらいたいと思っています。
 参加した子どもたちは教室に帰ってから、「お部屋はこんな風に飾りつけてあったよ」「献立はこうだった」とお友達に説明するそうです。あるいは朝学校に行くと「今日、〇〇給食会あるの?」と聞いてくる子どももいます。
 【教育的効果について】
 今の子どもたちは兄弟が少なく、人を思いやる心が欠けていると言われますが、1〜6年生まで全学年がまざる町内別や、たて割り方式では、低学年がなかなかとれないで迷っていると、高学年が「どれにする?」「何個?」とやさしい声をかけ、世話をしています。また、このようなふれあいがあったことにより、廊下で会った時には声のかけあいにつながっています。不登校ぎみの子どもたちは、自分が給食会に割り当たっている日は登校したということもありました。
 年一〜二回の実施では難しいことですが、この給食会を通して食品や栄養に対する興味・関心を高め、自己管理能力を養い、食べることの楽しさを感じとってほしいと願っています。
(教育家庭新聞99年10月16日号)