わたしの食と健康L
 

   芝居先で食べる大家族との食事

             椿組座長・俳優 外波山文明さん


 外波山さんは長野県の出身。演劇を志して21才の時に上京。71年にはみだし劇場を旗揚げしてから30年。現在は座名変更した[椿組]の主宰者である。
 今年は1月13日のジァン・ジァンのひとり芝居に始まって、2月は下北沢演劇祭椿組プロデュース「あっ、カブトムシとんだ!」に出演、続いて、3月は六本木で「KAKIBAKAと役者バカ」という、黒田征太郎氏とのコンビの、ポスターによる演劇史展。合間に映画出演という、活躍ぶりである。そこで、いつも元気。頑張り屋の秘密はというと…。

 何と一見不健康。しかも特別な健康法はない。お酒も飲めば夜更しもするという。ただし、あれは嫌い、これは駄目という、偏食は一切ない。何しろ座員、知人が我が家のように出入りするから食事も大人数だ。あれこれ好みを云っていられないわけだ。ことに、花園神社の野外公演の時なんぞは、50人以上の大家族がいっしょに食事をする。大釜いっぱいに炊くお米は、ふっくらとおいしい、おかずは手近の材料をぶち込む鍋専科だ。栄養満点のちゃんこ鍋仕立て。皆でおしゃべりしながら、われ勝ちに食べるので、漠然と食べるご馳走より、しっかり身につく。栄養的に勝るというわけである。それに、緊張した舞台が終わって、飲む酒の旨さは格別だ。この味があるから、芝居がやめられないのかな、と思ってしまうほどである。
 だから、食べ物の思い出も芝居といっしょだ。それは若い頃、幌つきのトラックで、芝居をしながら回った日本各地やシルクロード祭旅(ドイツ、ギリシャ、レバノン他の国々)での、素朴な食べ物だ。
万国共通語の芝居と、何でも食べるサバイバル精神。健康で地道に励んだからこその、今日までの実績だ。
 どうやら、外波山さんの健康のキーワードは、芝居と偏食しないこと。そして、何よりの美酒美肴は芝居である。
(教育家庭新聞2000年1月15日号)