私の食と健康第16回

規則正しい生活で現役時代の体重維持
読売ジャイアンツ二軍監督 高田繁さん

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 浪商−明大を経て巨人入りした昭和43年、いきなり3割1厘を打って新人王。それ以後も好打好守のトップバッターとして、巨人のV9に大きく貢献した。守備の名手に贈られるダイヤモンドグラブ賞を外野手で4回、3塁手で2回受賞しているのも珍しい。いかに軽快な身の動きだったかが分かる実績だが、その高田さんも現在は54歳。古巣の巨人に戻って二軍監督を務めている。
 そこで健康について聞いてみると、まずこんな答えが返ってきた。「現役時代のベストウエイトが68キログラムでしたが、今もその体重を維持しているんですよ」プロ野球に限らずスポーツ選手が現役を退くと、間違いなく太る。食事の量や質は変わらないのに、運動量が極端に減るからだ。だから、現役時代の体重と同じということは大変なことで、それだけでも健康であることがよく分かる。では、その秘密はどこにあるのかと聞くと−。
 「まず規則正しい生活ですね。ファームの試合や練習がある日は午前6時に起床、しっかり朝食をとって午前7時半には自宅(東京・三鷹市)を出ます。そして午後6時頃には帰宅、一軍のナイターをテレビで観戦したあと、午後10時半にはフトンに入るんです」。高田さんは現役時代からタバコはやらなかったし、酒もほどほど。そのうえ当時は派手だった夜遊びもあまり好きでない“優等生”だったのも事実。健康法の一つである規則正しい生活は、今に始まったことではなかった。
 食に関しても現役時代からずっと続けているこだわりがあるそうだ。「それは毎日、バランスのいい食事をすること。若い時はどうしても肉中心の食事になりがちですが、私はなるべく魚や野菜をとって、いつもバランスを考えていました。現在は野菜が中心の食事ですが、今度はなるべく肉もとるようにして気をつかっています」ビタミン剤や健康茶などを飲む人も多いが、高田さんは一度も飲んだことはないそうだ。
 「問題は運動することですが、その点ではとても恵まれています。二軍監督という立場なので、ユニフォームを着てグランドを動き回るし、ノックもやる。若手バッターのためにフリーバッティングの投手までやりますが、考えてみればこれが願ってもない健康法なんですよ」試合中の緊張感や多少のストレスも、かえって刺激剤になっていいとまで言った。
 毎日指導している若い選手たちの健康については、こんな話しをしてくれた。「遠征などに行くと、ホテルのそばのコンビニへ駆け込む選手が実に多い。スナックや甘い飲料水などが大好きらしいが、私はいつも言っているのです。そんなものを食べないで、毎日3度のメシをしっかり食べなさいって」その言葉どおり、3度の食事を規則正しく、バランスよくとってきた高田さんは、これまで医者と薬には無縁で風邪もほとんど引かないそうだ。
 (教育家庭新聞2000年4月15日号)