わたしの食と健康K
 

   撮影現場では特に30品目を意識

             スプリクター 堀北昌子さん


 昭和25年に大映京都撮影所に入社以来、日活、三船プロダクションを経て、現在、日本映画・テレビ・スプリクター協会理事長。スプリクターとして、日本映画の最盛期を経験し、実力派監督のもとで映画づくりに活躍。つい最近も・川の流れのように・を仕上げたばかりだ。一九九三年にはアカデミー特別賞、昨年は文化庁長官表彰、そして今年、黄綬褒章受賞という輝かしい経歴である。
 しかし、子供の頃から病弱で、入社した頃は、仕事がきつかったということだ。ところが、スプリクターという仕事は、映画製作の準備から、仕上げまで、すべての分野にタッチしなければならないので、仕事に入ると、病気だからと休んでいられなかった。それが、仕事に合っていたのだろうか。いつか丈夫になって、映画づくりの場が遂に一生の仕事となったわけだ。
 撮影現場は集中力が必要で、一コマ一コマを記憶していなければならないから、緊張の連続である。そこで、神経機能に効果的な食生活を実践しているのかな、と思ったら、それ程神経質にならないし、特別に頭をリフレッシュするもの、なぞと考えないで、普通に食べる。しかし、量を食べないので、栄養バランスは気にする。また、仕事の時は現場から離れられないから、偏食しがち。目標の30品目を万遍なく食べる努力は惜しまないということである。
 だから、何でも食べるが、京都で育ったので、うす味を好む。今では東京生活の方が長いが、うどんの、あの黒い汁は未だに我慢できない。それに最近は関西でも普通になった納豆も、いくら栄養価が高いといわれてもお断りだ。また、煮た大根も駄目。生のつまやおろしの時は平気だが、炊いたものは匂いが気になって、好きになれないのだという。好きな食べ物は肉。有名な牛肉の産地に囲まれた京都育ちなので、旨い肉に不自由をしなかった。良質のたんぱく質が、きっと、頭脳の回転が必要な仕事の助っ人役になっているのだろう。
 元気の時は美味しい。美味しいから飲める。アルコールは、ビール中瓶1本、ワインならカップ2杯、日本酒だと一合半位。健康のバロメーターだという。133本という映像に携われたのも、健康だからこそのもの。元気に仕事が出来る幸せを思う日々である。
(教育家庭新聞99年12月11日号)