敬語は年齢が高い人ほど正しく認識
文化庁「国語に関する世論調査」
言葉はその使う場面や使う人の感情など、いろいろな背景によって変化しやすい。また文法的に間違った使い方でも気付かれず、主流になってしまうものもある。それが気になるか、気にならないかは地域や年代によっても差がある。こうした言葉の変化についての意識を探る「国語に関する世論調査」の結果が先ごろ文化庁から発表された。
「ら抜き」言葉や「さ入れ」言葉など、明らかに文法的な間違いがある言葉も、それを多数の人々が使い、言葉だけでなく文字にもなると、いつしか定着してしまうのが言葉の変化の不思議。
調査では敬語の正しい認識や使い分け、流行語や新しい外来語などについて分析。全体的に年齢が高い人ほど敬語への正しい認識がある。一方で「アイデンティティー」「バーチャルリアリティー」など新しい外来語については、二十代から四十代ごろの年代が最も認知度が高い。ある程度の社会的・人生経験をしながら、また新しい刺激にも柔軟な年代ほど、外来語に強いとみられる。
さらに「チョー」「なにげに」といった「若者言葉」を普段、使うかどうかについては年代差がはっきり。「チョー」は十六歳〜十九歳の半数以上、二十代で三割前後が使っているが、四十代以上では数パーセントと少ない。
「さ入れ」言葉、気にする人は少数派
敬語の誤りの代表として三つの例をあげ、それが気になるかならないかを調べたところ、いずれも「気になる」は少数派だった。
「あしたは休まさせていただきます」が気になる人は三三・三%。「今日は帰らさせてください」は四六・三%、「担当者を伺わさせます」は三八・七%。ちなみに正しい使い方は、それぞれ「休ませて」「帰らせて」「伺わせます」が本来のもの。
「休まさせて」が気になる人が追いのは関東と北陸で四割近かったが、北海道は二二%で低い。また年代では三十代が四割近くで最も高いが、十六歳〜十九歳の男性は二四・一%で最も低かった。
「伺わさせます」も気にならない人が約六割で多数派。気になる人が多いのは中国四九・〇%、関東四四・〇%だったが、気にならない人は北海道六八・〇%、九州六七・二%、東北は六二・二%、近畿六三・七%。男性より女性の方が気になる割合が多く、女性の二十代から四十代では四割から五割近くが気になると回答している。
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