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「教育の成果はすぐに出ない」はウソ―陰山英男氏 (2007年06月14日)

中学生のテレビ視聴時間は世界最高、勉強時間は世界最低。世界で最もテレビを見、最も勉強せず、PISA調査結果では成績が中の上― それが日本のこどもたち、と述べる陰山氏。学力向上とICTについてどのような意見を持っているのか・・・(NewEducationExpo講演より)

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「学力低下問題」がクローズアップされたきっかけは「分数ができない大学生」という書籍から。そこには、東大や京大の学生の学力低下が指摘されている。今の東大や京大の学生は中学受験の時代からものすごく学習しているはず、そんな彼らも学力低下しているとするのなら、授業時間を増やせば学力が伸びるということにならないということを意味している。

この現象を考えるとき、中学受験や夜遅くまでの塾を含む学習習慣、食事内容、睡眠時間など、子どもにプラスと思いながらマイナスになることをやっている、という状況に気付かされるはず。この十数十年の間に狂ってしまった価値観を正し、極めて当たり前で基本的なことをやっていくことがもっとも大切だ、というメッセージが必要だ。

一時期に比較し、教師が頑張りやすい状況も出来つつある。報道からの先生バッシングも減ってきた。今、学校の先生が頑張る最後のチャンス。「教育の成果はすぐに出ない」という言葉は、教師なば、口にしてはならない。

「担任が変わると子どもが変わる」「校長が変わると学校が変わる」ことを、保護者は知っている。「教育の成果がすぐに出ない」という言葉は、ヤル気のなさの現れだ。

詰め込み教育が一時期批判されてきたが、それは子どもたちの状況の分析が悪かったから。一時期に何かひとつに集中させれば、効果は飛躍的に上がる。思いで批判するのではなく、多様な実践を具体的に検証することが必要だ。

学力は「短期勝負でこそ伸びる」という面もある。山口県山陽小野田市の実践では、昨年の5月、平均知能指数102(3700人)だった子どもたちが、今年の2月には平均112になり、算数の偏差値も上がった。この期間に行ったことは、「早寝・早起き・朝ごはん」即ち、生活習慣の改善だ。脳の力の低下に歯止めを打てば、学力向上の可能性は見えてくる。それと共に、短期的に1つのことに集中させ、脳を鍛えれば脳の力は強くなる。学力低下不安の中で、学力向上の方法の鍵はかなりたくさん見えてきた。あとはやるか、やらないかだ。

学校の外までのネット環境は、世界最高。しかし学校の中にあるコンピュータ整備は世界最低。それが今の日本の現状。しかし教育再生会議第二次報告では、ICT活用に関して前向きになるような文言が入っている。想定されるデバイスは、授業用電子黒板やタブレットPCなど。北京では教卓には実物投影機があり、プロジェクターと共に全ての教室に配備されている。日本も早急にこのレベルまでもっていく必要がある。

優秀な教師とそうでない教師の違いは、子どものつまづきやすいポイントを把握し、その要所を濃密にできるか否か。それは、学習履歴に現れる。コンピュータの活用は、その把握に最適だ。徹底反復とICTは、相性がいい。タブレットPCは、究極の個別指導が可能。生徒1人1台にタブレットPCの貸与、という状況はそう遠くない時期に開始されるだろう。



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投稿者 kksblog : 2007年06月14日 14:39


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