「情報教育担当珍道記 その弐」

道先案内人失格?

by Long Distance

<筆者プロフィール>
某県の小学校教諭・情報教育担当(ご本人の希望で匿名です)
コラムでは「情報教育」の初期・中期・現在までの経緯や現状、そして未来への提案も含めて語っていただきました。


 他の人より早くコンピュータに触れ始めたという理由から、初心者の方を前に研修をする機会が増えたのは6年ほど前でした。
 初めてコンピュータに触れる人には分かりやすく教えなくちゃと、ていねいに細かな所まで説明することが大切だと考え、「右下のスタートボタンをクリックして、プログラムから・・・」と一つ一つの操作を指示し続けました。一通りの研修が終わり、しばらく自由にコンピュータを使う時間にしました。しばらくして受講者から、「ワープロを始めるにはどうしたらいいの?」と質問がありました。
 その後、幾つも質問がありましたが、ついさっき研修したはずのことが多かったのです。質問を受けるたび、冷や汗が次から次へと出てきました。

 そんなことがあってから、他の講師の方はどのように教えているのか興味を持ち、観察するようになりました。すると、受講者が満足な顔をして終わる研修会と、自分の時と同じように消化不良のまま終わる研修会では、講師の方の進め方に違いがあることに気づいたのです。
 それは、市販のテキスト本のような進め方と、受講者の反応を瞬時に理解し臨機応変に対応する進め方という違いでした。ここまで書けば受講者が満足するのはどちらの進め方かは明白です。当然、後者です。

 受講者の素地力や進行状況を把握し、ニーズにも対応できる研修ができるようにと思い、長期研修をすることにしました。今までの考え方や行動パターンを壊すところから始まった長期研修は、本当に苦しいものでした。しかし、受講生の反応で軌道修正しながら、「自分でもできた」という実感を少しでも持ってもらえるような研修が、少しでもできるようになったことで長期研修してよかったと思っています。

 一昨年度から多くの税金を使って、教職員のコンピュータ研修が各学校で行われています。本県では、某民間会社から講師が派遣されてきますが、本校に昨年度来た講師の教え方のお粗末さに言葉を失いました。これでは、教職員のコンピュータ技能の向上は望めないのではと不安になってしまったのは、私だけでしょうか。


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