「食中毒 発生件数は減少続く
  
気の緩み警戒を 学校給食 衛生管理に課題も


 「学校給食における衛生管理の改善に関する調査研究報告(案)」が文部科学省よりまとめられた。これによると、昨年度の学校給食における食中毒の発生件数は4件で、有症者は767人。昨年度の10件(有症者1698人)を下回り、発生件数、有症者数ともに平成元年度以来最少件数となった。(報告書一部抜粋6面に掲載)


 昨年度に発生した食中毒の原因菌は、サルモネラ1件、小型球形ウイルス2件のほか、不明が1件。発生原因については4件とも不明である。平成11年度同様、原因菌が患者の便から検出されても、保存食からは検出されない食中毒を中心に起こっている。
 過去に食中毒を起こした給食施設を中心に、食中毒を起こしていない1調理場を含む全国13か所への巡回指導が行われたが、食中毒を起こした調理場の共通の問題点として、1給食関係者の危機意識の希薄2ウエットシステムであることを理由にドライ運用していない3作業工程表、作業動線図が作成されず二次汚染の可能性のある調理作業などがあげられている。
 巡回指導先に見られた改善すべき点として、施設設備面では、汚染作業区域と非汚染作業区域の明確な区分け、手洗い施設や便所の適切な箇所への設置、調理器具の適切な使用、正確な温度計・湿度計の設置、調理後2時間以内の給食の徹底の6項目が具体例とともに指摘されており、そのほか洗浄・消毒や食材の購入、調理過程、検食、保存食、衛生管理体制それぞれで問題点が挙げられている。衛生管理体制の課題としては、学校栄養職員のいない調理場で管理責任者が定められていない事例をあげており、学校栄養職員が複数校兼務している場合は、各学校に作業工程表や作業動線を作成する事が難しく、今後検討する必要があると記している。
 報告書では最後にまとめとして今年度に向けた留意点を挙げている。まず関係者の継続的な意識改革として、学校給食を原因とする食中毒が減少傾向にあることから平成8年、9年当時と比べ気の緩みが出ていることを指摘。学校給食以外では多数の食中毒が発生してる状況や食中毒の内容が少数菌やウイルスの発生に変化していることを踏まえ、「抵抗力の弱い児童生徒に対して大規模に発生することを再認識」と記し、一層の中毒防止の徹底を促している。施設の面では、ウエット調理場において必要な設備の改善を図り、無理なく永続的に行えるドライ運用を行うようにまとめている。

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(2001年6月9日号より)