文部科学省予算概算要求

          学力向上事業、目白押し 


 文部科学省の平成15年度予算概算要求が発表された。一般会計は、7兆150億円で対前年度比6・6%増。初等中等教育局を中心に新学習指導要領の目標達成に向け非常に盛りだくさんの新規事業が要求されている。特に目立つのが、学力向上に関連する事業。個に応じた指導の充実を図る学力向上フロンティア事業の新規・拡充、教員志望者などを活用する放課後学習チューターの配置、大学の研究者と連携した学習指導カウンセラー派遣、評価の研修プログラムの開発、学習意欲を高める教材や指導方法のデータベース化・ネット配信などなど。情報教育関連では、地域の各校種各教科の教科教育研究団体にITの効果的な活用法を研究委嘱しIT活用の定着を図る。

初等中等教育局を中心に、新規・拡充施策を見る。
 〈教員定数改善・教員資質の向上〉
 第7次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画の第3年次分として5380人の改善を図る。内訳は、20人程度の小人数指導や習熟度別指導などを行う小中学校の取り組み支援に4500人など。
 また、新規に国公立の小学校教諭を対象に10年経験者研修を実施。都道府県、指定都市、中核市を対象に1万9000人、予算は5億600万円を要求。初心者研修の対象教員数は、小中高校、特殊教育諸学校で2257人増の1万7537人。さらに、教員1人ひとりの能力や実績などを適正に評価するための教員評価に関する調査研究に新規に着手、1億2235万円を計上。59県市に委嘱、期間3年間。
 一方、市町村合併などが進む中で、小規模の教育委員会が共同して教育行政を遂行する小規模市町村教育委員会広域化支援プランを新規に実施。12か所をモデル地域に指定、3年間研究する。6363万円。
 〈新教育課程の実施推進〉
 個に応じた指導の充実を図る学力向上フロンティア事業を拡充。小中学校の指定校約850校を1700校に増加、県単位でのHP等の作成も支援する。9億9400万円(対前年比4億9316万円増)。
 また、新規事業として学習意欲・学力向上に取り組む学力フロンティアハイスクール事業(2億8500万円、20地域×10校)、教員志望者などを「放課後学習チューター」として配置し学習相談にきめ細かく対応する放課後学習チューター調査研究事業(4億9983万円、47地域×6校)、指定校に大学の研究者などを派遣し指導方法の改善を図る学習指導カウンセラー派遣事業(1億2090万円、47地域×3校)を実施。保護者への普及啓発パンフレットの作成や教員向けの評価に関する研修プログラムの開発などを行う新しい評価の普及・定着事業(2億240万円)も実施する。
 また、新学習指導要領の目玉である「総合的な学習の時間」推進事業(2億9885万円)も。モデル校での実践研究やNPOなど外部人材を活用した実践研究、学習プログラムの開発などを行う。さらに、学習意欲向上のための総合的戦略事業(10億1696万円)も要求。内容は多岐にわたりその道の達人を派遣(全国300校程度)、学習意欲を高める教材や指導方法などのデータベース化・ネット提供、仕事紹介ソフトのインターネットによる配信、「学びんピック」(仮称)の開催、などを行う。
 児童・生徒の科学的な見方や考え方を育てる「理科大好きスクール」も新規に(2億6700万円、20地域×10校)。
 〈英語教育の改善〉
 英語教育関連も新規・拡充事業が目白押し。新規事業として、英語教員の資質向上のための研修(4億3275万円)、1000人の渡航費などを補助する高校生の留学促進(5億384万円)、100か所に英会話サロンなどを委嘱する外国人とのふれあい推進事業(5億2742万円)。英語担当教職員海外派遣研修の中で新規に200人を対象に2か月派遣も実施。
 〈情報教育の推進〉
 新規にITの効果的な活用を定着させるため、e−教員プロジェクト(4億2098万円)を実施。内容は、大きく2つ。1つは教育情報共有化促進モデル事業として地域の教科教育研究団体に、ITを活用した教科の研修、研究、情報交換などを恒常的に行う研究を委嘱する。小中高校の36教科について36都道府県・市町村を指定。2つは、IT指導に関する技能などを能率的に修得できるようにe−ラーニングを活用したネットワーク提供型の遠隔研修カリキュラム、コンテンツなどを開発。研修システムをWeb上に載せて試行する。
 また、生涯学習政策局関連で教育用コンテンツの活用・促進事業(2億4400万円)を新規に実施。教育用コンテンツを活用した実践をすすめその指導案などをサーバに蓄積し公開する。私学助成関連では、情報教室や校内LANの整備、施設のバリアフリー化など学校施設の高機能化整備費補助(10億2700万円)を要求。私立小、中、高校(普通科)などを対象に整備費の3分の1以内を補助する。補助対象事業費は上限2億円、下限1000万円。

 

(2002年9月7日号より)


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