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大学の生き残りをかけて

         大学改革を推進 

              情報処理約8割が必修化


 大学の生き残りをかけて、様々な形で教育改革が行われている。文部科学省の調査によると(平成13年度の状況)、平成3年の大学設置基準大綱化を踏まえ、全体の9割を超える509大学、1171学部でカリキュラム改革を実施。具体的には科目区分の見直し、必修・選択の見直し、卒業要件単位数の見直しなどが多い。また、授業の質を高めるための工夫ではシラバスの作成、ティーチングアシスト(TA)の活用、学生による授業評価、自己点検評価とその実施結果の公開などが行われている。さらに、単位互換や編入学など開かれた大学への取り組みも拡大している。具体的内容は次の通り。

 〈カリキュラム改革〉

 教養教育の中に、情報活用能力の育成、心身の健康に関する科目、学際的・総合的内容、専門教育の基礎科目を開設している大学が多い。専攻以外の分野を学習させるための配慮では専攻以外の科目の履修を義務付けている大学がかなりある。
 情報処理教育は、国公私立521大学(約79%)で必修化され、656大学(約99%)で専用の教室を設置している。また、マルチメディアを活用した遠隔講義関連施設は、地上系通信で144大学(21・5%)、衛星通信施設で126大学(18・8%)が整備。
 さらに、ボランティア活動を取り入れた授業科目(192大学)や起業家育成科目(405大学)を開設する大学も増加している。

 〈授業の質を高める取組み〉

 セメスター制(1学年複数学期制の授業形態)を採用している大学が年々増加(541大学・1318学部)、例えば長岡技術科学大学工学部や東京基督教大学神学部では3学期制をとっている。
 シラバスを作成している大学も年々増加(659大学、1622学部)、ティーチングアシストを活用している大学も増えている(376大学)。ティーチングアシストの人数は平成7年度の2万7000人から12年度6万人と約2・3倍増。その職務内容は実験・実習・実技指導、ゼミの指導などが主。
 学生による授業評価は513大学で行われ、ここ5年間で倍増した。評価内容は授業のわかりやすさ、話し方、黒板・ビデオ・OHPなどの使い方、テキスト・配布資料の適切さ、など。この評価を改革に反映させる組織的な取り組みも国立48大学、公立14大学、私立120大学で行われている。

 〈単位互換、編入学〉

 単位互換制度を設けているのは422大学、他大学での履修を認められた学生数は1万6403人にのぼる。「大学コンソーシアム京都」(京都地域42大学・短大が参加)の協定大学と早稲田大学間で単位互換協定を締結している例もある。
 専門学校での学修を単位認定しているのは169大学、技能審査合格に関わる学修を認定しているのは157大学。

 〈自己点検・評価の実施〉

 616大学が自己点検・評価を実施、うち505大学が実施結果を公表している。また、外部の第三者による評価を実施しているのは264大学、評価結果も185大学で公表。

(2002年12月7日号より)


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