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出会い系サイトが性非行の温床に

         警察庁らがシンポで警告 

              性教育の徹底を


 携帯電話から接続する、出会い系サイトに関係した事件が急増していることから「出会い系サイト問題に関するシンポジウム」が11月5日、東京港区の三田共用会議所で開かれた。主催は警察政策学会、全国少年補導員協会、警察庁生活安全局、警察大学校警察政策研究センター。
 インターネット上の出会い系サイトに関わる検挙事件が平成14年上半期793件と前年同期に比べ倍増。その犯罪のうち、400件(50・6%)が児童売春事件である。しかも、高校生は男女とも2割前後が出会い系サイトの利用経験があり、利用したことのある女子高校生のうち4割が実際にあった経験をもっている。
 シンポジウムでは、まず内山絢子氏(前・警察庁科学警察研究所防犯少年部主任研究員、現・目白大学人文学部教授)が「援助交際と規範意識」について講演。木岡保雅氏(警察庁少年保護対策室長)が調査データを示して現状と問題点を説明。続いて、磯野莢氏(日本PTA全国協議会前マスメディア調査委員)が日本PTA全国協議会の立場から、宮本潤子氏(ECPAT/ストップ子ども買春の会共同代表)がNGO活動からの経験から意見を述べた。その後、インターネット協会の太田俊史氏とプロバイダー3社が安全性を保証しようとしている努力と限界について説明したのち、フロアーの参加者からパネリストに質問・意見が寄せられた。
 パネル・ディスカッションでは、宮本氏が「スウェーデンでは何年にもわたって性教育がなされている。その教育が徹底されていくのと比例して、買春が減っている。日本の子どもたちも(性に関する)本当の情報を求めている」と性教育の重要性を指摘。テレクラに陥る危険性として、「電話は幼稚園生にとっても今や必需品。しかし、大人が悪いといわなければいいと思って使ってしまう。小学生に対して話したところ、テレクラは大人が子どもを性的に遊ぶ場、ということを知らなかった。実態をきちっと教える必要がある」と言及。
 また、磯野氏は「ネットパトロールのような活動をもっと徹底し盛んにすべき」と要望。
 「サイトのコンテンツの大半が買春目的のものであれば、取締まるなどの規制が必要」との会場の意見に、コーディネータの木岡氏が「他の国ではもっと幅広く児童に対する誘い出しなどを法律で禁止している。現在の日本の法律ではできない」と現行法の問題に触れた。
 また、会場から「教育だけでどう解決できるのか。子どもたちの規範意識は社会の規範意識の反映」と社会全体のモラル意識を向上させなければ、学校教育だけでは問題は解決しないとまとめの意見が出た。

(2002年12月7日号より)

以下各氏講演内容
・内山絢子氏
・磯野莢氏
・宮本絢子氏


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