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新教科「情報」スタート
今年度のゴールはどこに設定するか

 教員1人で進める実習、評価の方法など課題も多いが、今年度からはじまった教科「情報」のゴールをどこに設定するか。小・中・高連携しての系統的な情報教育の観点からも考えてみた。


■系統的な情報教育へ
「系統的な情報教育を」「小中高等学校で連携を」……。高校の新教科「情報」がスタートし、新たな課題が浮かび上がった。課題を追求していくと、新たなハードルが見え隠れする。「どこの機関が統括するのか」「発達段階において指導内容をどう明示するのか。統一するのか」。議論は教科「情報」が始まり半年が経った今に、持ち越されている。

 「小・中と(情報教育の)段階を踏んでくるため、コンピュータリテラシー教育のウェイトを減らすことができる」というのは、千葉県立佐倉南高等学校の渡久山朝一先生。加えて「高校入学時の生徒の情報リテラシーにばらつきがあるため、(実践にはシフトするものの)基礎的な内容についてもきちんと時数を確保しています」と強める。

 生徒のリテラシーのばらつきは、小学校の総合的な学習の時間にも一起因がある。毎週1回コンピュータに触れている、年間20回、年度始めに5時間程度。総合的な学習の時間の活用は中学校もしかり。時数の減った技術・家庭科の「情報とコンピュータ」以外でコンピュータを活用する場面は学校によってまちまちだ。

 生徒・学校・地域における情報リテラシーの差は今後、広がり続けるだろう。
 誰が、いつ調整役となるか。教科「情報」が投げた波紋は大きい。

■座学を実習で定着
 都立墨田川高校の小泉力一先生に、教科「情報」の授業設計上の留意点や求められる教材などについてお聞きした。同校では17年度から情報Aを2単位実施する。

 ●実施を前とした授業計画(予定)
 ア、授業の重点
 情報モラルの指導は随時行い、解説したからおしまいということにしない。情報を科学的にとらえることをあらゆる場面で意識させるようにする。学んだ知識が身近な場面でどのように生かせるかを常に考える習慣をつけさせる。
 イ、実習の進め方
 座学で学んだことを定着させるための実習であり、実習のための実習にならない配慮をする。プリント等で操作説明に要する時間を節約し、情報を集める、整理する、考える、判断するなどの時間を多くとれるようにする。
 ウ、評価の方法
 評定のためだけの評価にしないようにする。評価を生徒に知らせ、次にすべき課題を自ら考えさせ、課題を解決した後に自己評価や相互評価を実施する。最終的な評定は教師の責任において与えることを認識する。

 ●教材
 座学・実習における効果的な教材
 いくつもの実習に応用できる必須操作(アンケート調査やプレゼンテーション作業)を、手順を踏まえて分かりやすく解説している補助教材(「チャート図解よくわかる 実習【情報】」など?)。いわば操作ハンドブックのようにして使えるサブテキスト。



【2003年10月4日号】