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教委に聞く
プロジェクタ 来年度の導入計画
予算、価格が大きな課題
 教室での教材提示に役立つプロジェクタの導入計画は−−本紙が今春行ったコンピュータ教育調査によると、各学級に1台ずつの整備を計画している市は少ない。最も多かったのは学校ごとに1台ずつ。3台ずつ、6台ずつといった計画もあり教育委員会によって台数にかなり格差がある。各市に計画設定の理由及び今後の導入計画を聞いた。


■各学級に1台ずつ
 千葉県柏市教委(小33校、中16校)は、ミレニアムプロジェクトに対応し、17年度までに各学級に1台ずつプロジェクタを導入する計画だ。既に中学校全校と小学校1校は14年度に各学級に1台ずつ配備を完了し、15年度に小学校10校(197台)、16年度に11校(167台)、17年度に11校(210台)を導入する。
 「最初は2学級に1台でもいいのでは、という声もあったが、なんとか予算を獲得した。今だったら通らなかったかもしれないが」と和田俊彦指導主事。
 宮崎市教委(小35校、中18校)も、市の方針により九州一の情報教育都市を目指し、各学級に1台ずつプロジェクタを整備する計画。現在、75台整備されているが、来年度はまず全学校の各フロアに1台ずつ(既存と合わせ計278台台)整備できるように先ごろ予算要求した。その後は、毎年100台ずつ導入し、活発な活用が見込まれる学校から優先的に配備していく予定だ。
 東京都西東京市教委(小19校、中9校)も、16年度までに中学校、17年度までに小学校の各学級に1台ずつ整備する予定だ。同市は今年7月、28校を結ぶ教育情報ネットワークを稼動させた。

■3学級に1台ずつ

 熊本市教委(小80校、中37校)は、17年度までに小中学校とも3学級に1台ずつ整備する計画だ。14年度までに校内LANの整備を終えた小中55校については、ノートパソコン(学級1台ずつ)とプロジェクタ(3学級に1台ずつ)を導入済み。今年度校内LANを整備した30校へは、来年度までにノートパソコンとプロジェクタを配備する。残る32校へも、できるだけ早期に整備したい考えだ。
 「1学級に1台整備するには、膨大な経費がかかる。常時使うものでもないので、3学級に1台で隣の学級をカバーする考え。また、ノートパソコンは、直接テレビに接続できるようにもしている。プロジェクターの実際の運用は各学校に任せるが、基本的には職員室に置いて集中管理し、使いたいときに学級に持っていってもらう。例えば、1年生の全学級でプレゼンテーションするときには、1年生の全クラスに持っていくといったこともある」と桑崎剛指導主事。

■各学級に6台ずつ

 栃木県小山市教委(小27校、中11校)は、学校に6台ずつ整備する計画。小学校は各学年1台ずつ、中学校は各学年2台ずつ、という内容。既に12年度までに各校2台ずつ整備済みで、コンピュータの更新と合わせ順次整備を進め、17年度までに各校6台にする予定。
 「プロジェクタが多く入ったことで、先生の意欲が高まっている。教室に持っていってネットワーク型コンテンツを活用している」と清水寿和指導主事。

■各学級に1台〜数台

 岐阜県大垣市教委(小17校、中9校)は、各1校1台ずつ整備する計画。
 「プロジェクタに対する学校のニーズは高くもっと台数を増やしたいのはやまやまだが、予算、価格が問題だ。1台40万円から50万円という価格は、まだまだ高い。コンピュータの更新時期も迎え、小学校の校内LANも15年度内に前倒しで整備する予定もある」と堀信哉指導主事。多くの教委の実情を代弁しているようだ。
 また、北海道岩見沢市教委(小12校、中7校)は、現在学校に3台ずつ導入している。「各学年に1台ずつという計画はあったが、予算的に難しい」(鈴木隆之主事)という。


■機種選定のポイントは
  明るさ2000ルーメン以上

 機種選定のポイントとして、共通してあげられたのは、明るさと大きさ(重さ)である。明るさは、明るく作られている教室でもそのままの状態で使えるように、2000ルーメン以上が主流。大きさは、持ち運びに便利な程度の大きさで、21114以下の小型の機種を導入した教委もある。

 カメラつきは、あまり条件に入っていないようで、子どもたちのノートや教材の投映は、デジカメ等を接続して行っている。

 これに加えて、宮崎市教委は黒板に直接投映して使えるタイプのものを上げた。黒板にパソコンの画面などを投映し、投映された画像に子どもたちが線や文字を書き込む学習効果のある実践が上がっているという。

 一方、小山市教委は黒板に貼り付けて使えるマグネットタイプの小型のスクリーンを台数分配備する予定。投映画面にペンなどで書き込みも可能だ。

 また、既に中学校の各教室に1台ずつプロジェクタを設置している柏市教委は、今後の課題としてランプの長寿命化−ランニングコストの削減を上げる。台数が多ければ、それだけランプの取替えにコストがかかる。

 また、同教委ではノートパソコンとプロジェクタを収納できる特注の収納卓を各教室に配備している。


【2003年12月6日号】