学習意欲の高い生徒、基本的生活習慣が身に付いている生徒、また新聞やインターネット等を情報入手に活用している生徒ほど教科テストの得点が高い−−国立教育政策研究所教育課程研究センターがまとめた平成１５年度高等学校教育課程実施状況調査結果で分かった。ぺーパーテスト結果では、政治・経済以外は、想定した学習活動が実現されている状況だ。指導上の工夫では、生活と関連づけて関心を高める、他分野と関連づけ総合的に把握する、地図、地球儀や新聞記事、インターネット等を積極的に活用する、といった指導の改善点が指摘された。

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　調査は国・公・私立高等学校（全日制課程）の３年生、約１４００学科、約１０万３０００人（８％）を対象に、平成１５年１１月に実施（旧学習指導要領）。ぺーパーテスト科目は、地理歴史（世界史Ａ、同Ｂ、日本史Ａ、同Ｂ、地理Ａ、同Ｂ）、公民（現代社会、倫理、政治・経済）の２教科９科目。各科目ともＡ、Ｂ２種類の問題冊子を作成し、１科目あたり５０分で行った。また、ぺーパーテストだけでなく、学習に関する意識調査も合わせて実施した。

　ペーパーテスト結果の詳細は、各科目ごとの中間報告にまとめられている。全体の結果概要によると、政治・経済で、設定通過率と比較して同程度以上と考えられる問題数が半数に満たなかったのを除き、他の科目では同程度以上と考えられる問題数が半数以上となった。
　テスト結果の分析によると、生活に身近な内容を扱った問題は想定を上回る傾向だが、基本的な事項や概念の理解、また総合的に捉える力、自分の考えで表現する力は不十分な傾向が見られた。

　また、意識調査と合わせ考察した指導上の改善点では、生活と関連づけて関心を高める、歴史の流れの中で時代の特色を捉えたり他分野と関連づけ総合的に把握する、地図、地球儀や新聞記事、インターネット等を積極的に活用する、といった指導の工夫が指摘された。



■意識調査から

　「勉強が大切だと思う」（「どちらかといえば大切だと思う」を含む、以下同）は約８１％、「勉強が好きだと思う」は約２０％、「学校の授業がよく分かる、または大体分かる」は約３８％。

　小学校６年生、中学校３年生（平成１３年度小中学校教育課程実施状況調査による）に比べ、「勉強が好きだと思う」中学３年生約１８％を除き、いずれの割合も高校生の方が低い。

　また、「学校の授業以外に１日に３時間以上勉強する」は約２２％。逆に「学校の授業以外に１日に勉強をまったく、又は、ほとんどしない」は約４１％。３時間以上勉強する割合は、小学６年生（約５％）よりは多いが、中学３年生（約２４％）よりも低い。「まったく、又は、ほとんどしない」割合は、小中学生とも１０％前後なのに比べ、かなり高くなっている。高校生では、勉強する層と勉強しない層がより２極分化している。

　さらにアンケート調査とテスト結果を重ねてみると、学ぶ意欲の高い生徒、基本的な生活習慣が身に付いている生徒は、ぺーパーテストの得点が高い傾向が見られた。また、社会についての情報収集方法では、「テレビのニュース番組」「本や雑誌を読む」よりも、「新聞を読む」、「インターネットを利用する」高校生の方がテストの得点が高い傾向が見られた。

【2005年3月5日号】

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