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大学で学生の懐を開くIT活用
「教える」から「学ぶ」へ
私情協調査

 授業でITを活用している教員は大学で3割、短大で約4割。その活用内容は3年前は資料提示や情報検索が多かったが、現在はシラバス掲載、現実感覚の創出、課題提示と学習意欲や動機付けに働きかけるような形が多くなっている。一方で、授業で直面する問題点を「基礎学力の不足」を大学教員の6割があげている−−社団法人私立大学情報教育協会がまとめた調査で「教える授業」から「学ぶ授業」への転換が共通認識となっていることなどが明らかになった。

 調査は社団法人私立大学情報教育協会加盟の大学・短期大学の全専任教員(講師以上)を対象に実施。大学335校(2万5521人)、短大155校(2347人)から回答を得た。

 大学教員が授業で直面する問題点は、1位「基礎学力の不足」(60・1%)、2位「学習意欲の不足」(40・4%)が群を抜き、「基礎学力の不足」の指摘は6年間で25ポイントも上昇した。

 しかし、大学、短大とも教員は学習意欲を高める授業作りに苦慮。苦慮している割合は若干、ITを活用しない教員の方が高い。

 教員が実現したい授業として、「学ぶことの動機付けを徹底し学生が主体的に学ぶ授業」を8割の教員が目指し、「授業中に学生の反応を捉え、理解度に応じた授業」を6割近くが考え、対話重視の授業も4割近くの教員が目指している。学生が主体的に「学ぶ授業」への転換である。

 そのための教員の課題として、「授業のシナリオ作り」が第1に、大学の課題として「授業科目間の実質的な連携」がそれぞれ第一に指摘されている。

 授業でのIT活用内容の推移は、授業改善の解決策としてIT活用が大きなウェイトを持ちつつあることを示唆。2年前は情報提示や検索の道具としての活用が主であったが、授業詳細情報の掲載、学ぶ実感の導入が多くなっている。今後2年先の活用は現在の活用をさらに進展させると共に、eラーニング、教員と学生及び学生間のコミュニケーション、PC・携帯での理解度把握といった活用が一層多く計画されている。

 なお、IT活用の効果の第一は「授業に刺激をもたらす」とされているが、一方でIT活用の問題点として「理解しているようで理解していない」「ノートをとらない」点を5割前後の教員が注意すべきとしている。



【2005年7月9日号】


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