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現行目標引継ぎ達成へ
文科省「ポスト2005」のIT戦略の考え方
教育効果にも重点
「IT指導教員」認定制度を導入
 e-Japan計画の最終年も6か月を過ぎたが、文部科学省は10月25日ようやく、「ポスト2005における文部科学省のIT戦略の基本的な考え方」をまとめ発表した。政府のIT戦略本部で「2006年以降も引き続き我が国が世界最先端であり続ける」として検討している新たな戦略に反映させるためだ。現行計画の目標の達成や校務の情報化の促進を含めた教育情報化の一層の推進、ITを活用した教育効果の明確化、私立学校の公立学校と同水準の整備、教員のIT指導力の向上と優秀な「IT指導教員」等認定制度の導入、すべての教員へのコンピュータ配備、情報モラル教育の推進などを盛り込んだ。

 e-JapanIIに続く国の次期IT戦略を作る作業がIT戦略本部で進行中で、「世界のフロントランナーとしてIT革命を先導」といったことを目指す次期戦略が年内か年明けにまとめられる予定だ。より掘り下げた計画は重点計画に書き込まれるが、「ポスト2005における文部科学省のIT戦略の基本的な考え方」(以下、「基本的な考え方」)は政府の次期IT戦略に盛り込まれる教育の情報化施策の元になる。

 「基本的な考え方」はまず、普通教室へのLAN接続100%といった現行の目標がまだ達成されていないことを踏まえ、引き続き現行計画の目標を達成することを目指す。加えて、従来の計画が「モノの整備」、整備率向上に偏っていたのに対し、IT活用による教育効果の分析や学校現場における指導体制の構築にも一歩踏み出している。地方自治体からも予算要求する上で「IT活用の目的の明確化」を求める声が上がっていた。

 現行計画を上回る新たな数値目標はまだ設定されていないが、設定された場合は国の重点計画などに書き込まれる形で、予算は従来どおり地方交付税で措置される。

 「基本的な考え方」は「目指すべき方向性」として、

  1. 学校教育の情報化の一層の推進、
  2. 人と人との交流を通じた生涯学習の増進に向けた基盤の形成、
  3. 最先端の「知」の探求と大学作り、
  4. 文化芸術の創造と発信・交流やスポーツの振興、
  5. 情報化の影の部分への対応、
の5点が提示した。

 「具体的な施策」として、新たな目標、キーワードがいくつか登場している。

 まず、IT環境の整備では、すべての教室のLAN接続、教育用コンピュータ1台あたり児童・生徒5・4人に1台の割合の達成に加え、「ITを活用した教育効果の明確化」、「地域や学校の特色を活かしたIT環境の整備」、「私立学校のIT環境の整備」を上げる。教育効果を明確にするため、具体的・定量的な評価・分析を行い、公立に比べ若干整備が遅れている私立学校の整備を公立並みにする。

 教員のIT指導力の向上については、指導できる教員の割合100%達成に加え、「IT指導力」の基準を具体化・明確化し、その具体的目標に基づいた研修プログラムを策定するとする。また、「IT指導教員」等認定制度を導入し、2007年度までに各校に配置することを目指す。この認定制度については、自治体ごとに認定制度を作る形で、今後詳細内容を検討し文科省としてのガイドラインを示す方向だ。

 また、「校務情報化の促進」として、予算措置の方法は確定されていないが、「すべての公立学校教員にコンピュータを配備することができるように、IT環境の整備の促進を図る」とした。

 情報モラル教育への取り組みも充実させる。

 従来に比べ、モノの整備と指導体制、教育内容を連動させた体系的な計画となっている。

【2005年11月5日号】


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