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学校安全対策 早急に充実を
ハード・ソフト両面で教科必要
スポーツ・青少年局学校健康教育課 
井上惠嗣氏
 文部科学省では、学校安全の充実に、ハード・ソフトの両面からの取り組みを推進している。平成18年度概算要求によると、「子ども安心プロジェクト」には10億6700万円と、昨年度比4700万円増となっている。新規で「子どもの安全に関する情報の効果的な共有システムに関する調査研究」が20地域で行われるほか、「地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業」も62地域で継続される予定だ。スポーツ・青少年局 学校健康教育課 課長補佐 井上惠嗣氏に、学校安全確保に関する施策の詳細を聞いた。

 子どもたちが安心して教育を受けることができるよう、国として学校の安全確保のための施策を推進することは極めて重要な課題であると考えています。文科省では、学校や通学路で子どもや教職員に危害が加えられる事件を重く受け止め、平成14度から学校安全の充実にハード・ソフトの両面から総合的に取り組む「子ども安心プロジェクト」を推進しています。


IT技術を検証・有効に活用を
子どもの安全に関する情報の効果的な
 共有システムに関する調査研究
 近年、不審者情報など子どもの安全に関する情報をパソコンや携帯電話のメール機能を活用して関係者に配信したり、子どもにICタグなどを携帯させ、登下校時の状況の安全確認を行い、保護者に伝達したりする仕組みなどを導入する動きが見られます。

 そこで、文科省では、20地域(予定)を指定し、ITを活用した子どもの安全情報に関するモデル的な取組を行っていただく事業を来年度概算要求に盛り込んでいます。各地域において、言わば「知恵比べ」的に様々な課題の検証や工夫を行っていただき、その結果を全国にフィードバックし、各地域における効果的な取組の一助にしていただければと考えています。そのため、モデル地域の事例分析のための協力者会議を立ち上げ、課題の抽出・整理を行ったり、事例発表交流会を開催する予定です。
整備状況を検証
地域ぐるみの学校生活
 体制整備推進事業
 この事業は、平成17年度より開始しましたが、3つの柱から成っています。ひとつ目の柱は、「学校安全ボランティア」の養成・研修の実施です。現在、地域住民や保護者の協力を得て学校や周辺の巡回を行っている例が増えていますが、その方々に最新の警備情報を紹介したり、実践的な事例を学んでいただくものです。

 2つ目の柱は、警察官OBの方々などの協力を得て、「スクールガード・リーダー」として、学校を巡回指導していただくものです。各学校での警備のポイントの指摘や学校安全ボランティアの方々への具体的な指導を行っていただきます。

 3つ目の柱は、モデル地域を指定して、そこで地域社会全体で子どもたちの安全について様々な取組を行っていただくものです。この部分は平成14年度から実施しているものですが、まさに「地域ぐるみ」で取り組んでいただくことを期待しています。

 これら事業の他にも、防犯や応急手当等についての訓練等を実施する「防犯教室」の開催の支援や学校安全に関する資料の作成配布などを行ったり、学校の安全管理の徹底の一環として、学校の安全管理の取組状況に関する調査を実施・公表しています。

 学校周辺の状況、児童生徒数、校舎の配置・構造など、学校が置かれている状況は、学校や地域ごとに様々ですし、学校安全については「これさえ整備すれば大丈夫、これさえやっておけば安心」というものはありません。関係者が常に問題意識をもって、ハード・ソフト両面から効果的な取組を充実していく必要があります。

 ハード面に関しては、地域の実情に応じて、不審者侵入防止のため、防犯カメラやセンサーなど防犯監視システムを整備したり、仮に緊急事態が発生した場合の警察などへの緊急通報システムの設置、あるいは防犯器具の備えなどを行うことが有効と考えられますが、適切な活用体制や訓練、維持管理も不可欠な要素です。なお、これら学校安全対策のための経費について、標準規模学校当たり33万円の普通交付税措置がなされています。

各自治体では


【2005年11月5日号】


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