小学校英語
目標は英語「を」か「で」か
指導者は担任?ALT?
大東文化大学 冨田祐一教授
東京都葛飾区立中之台小学校の研究発表で、大東文化大学の冨田祐一教授が「異文化間コミュニケーションと小学校の英語教育」をテーマに講演。小学校英語は「英語を」教えるものではなく、「英語で」コミュニケーション能力を教えるべきもので、指導者は担任が望ましいと指摘した。冨田氏は、NHKテレビ「えいごリアン」の企画委員で、NHKラジオ「基礎英語1」の講師をつとめた経験をもつ。
▼韓国では「英語嫌い」が増加
韓国では1997年に小学校に英語を教科として導入した。当時日本の教育関係者の間では「すばらしい」と言う人が多かった。ところが、10余年経った今、韓国で起こっているのは、「英語が一番嫌い」という小学生が多いことだ。教科として導入され、5↓1で評定される、保護者が英会話塾に行かせるといったことが起こっている。新しい教育システムを取り入れる場合には、余程慎重に考えなければいけない。
我々小学生を相手に教育活動をしている者が忘れてならないことは、小学校は子どもの全人教育をする場であり、子どもたちが輝いて生きていなければいけないということだ。
仮に英語が導入されたことにより学校生活が楽しくなくなってしまったら、それは百害あって一利なし。何が小学生の生活を豊かにするかを慎重に考えていきたい。
▼目的はコミュニケーション能力
文部科学省の中央教育審議会の審議の方向性は、小学校の英語は教科ではなく総合学習の中で、領域として位置づけられそうである。その目的はコミュニケーション能力の育成である。これは、語彙力とはまったく異なり、また発音をいくつ覚えているかといったこととも異なる。
教材を使って先生が子どもたちに語りかけ、先生と子どもたち、ALTが英語を媒介として交流する。その経験から子どもたちは、人と交流することを学んでいく。
文部科学省が平成19年度予算で作成を予定している英語活動ノートにはゲームや活動に利用できる教材が盛り込まれことになるだろう。
▼中学校の英語教育との比較
中学校では英語を学習する。そのため文法教育もする。批判する人もいるが、私は文法教育は大切だと思っている。そして、英語の運用能力、書く力、読む力を育成していく。その中学校教育を前倒す、例えば6年生に降ろすことは、私は危険ではないかと思っている。
▼良く尋ねられる質問
Q1 指導者は「ALT」か「担任」か
私は中心となるのはALTではなく、担任の先生が力をつけていかなければいけないと思っている。子どもたちと身近でありつながりが深いのは担任の先生なのだから。
Q2 使用言語は「英語」か「英語+日本語」か
英語だけを使った方がいい場面と「英語+日本語」で行った方がいい場面がある。何を目的とするかによって振り分けるのが良い。今日の研究授業ではかなり英語を使っていたが、英語だけで活動すると子どもたちは英語を早く覚える。
Q3 「英語で°ウえるのか」「英語を°ウえるのか」
英語がいくら上手になっても、相手の気持ちが分からなくなってしまっては意味がない。小学校の英語教育はあくまでも全人教育の場である。人格の形成を目的とするもので、ただ話せる人を育てることを目的とするものではない。「英語で教える」と考えるべきである。
【2007年1月1日号】