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INTERVIEW 「学校ITと確かな学力」8
豊かなIT教材を子どもに

教材の標準化を提案
IT活用教材標準化委員会代表
原 久太郎氏
IT活用教材標準化委員会代表 原久太郎氏 IT活用教材標準化委員会(以下ITEM)は、「IT教育環境のもとで豊かな教材を子どもたちに提供する」ことを目的に設立した。IT活用教材標準化委員会の原久太郎代表に、これまでの活動内容と今後について聞いた。

 教科書が異なることによって、それに準拠するIT教材にばらつきがあっては教育水準に差が生じる。ITEMでは、それを避け、教育水準の底上げをするための「標準化」の提案を目論む。「これまでは、教科書会社・教材会社やソフト会社各社を集め、標準化の必要性を浸透・意思を結集することが目的でした。これは、12月9日に24団体が結集することで、ほぼ達成されました。これからは、具体的な標準化を進めていく段階になります」と、原代表は述べる。

 ITEMでは著作権の勉強会や求められるIT教材について調査・アンケートなどに取り組んでおり、これからは、標準化をより具体的に提案していく。「例えば世界の図形教育においては、CABRIやジオメタースケッチパッドなどが自治体や国(シンガポール)レベルで導入され、ITを活用した教材が子どもたちに提供されています。日本では、コンピュータを利用した図形教育は一部を除いて行われていません。しかし、その一方で現場では、愛知教育大学の飯島先生が主催する作図ツールコンソーシアムにおいて、全国の先生方がネットを通して図形教育にコンピュータを利用する研究を続けているという動きがあります。これを副教材として子どもたちに提供し、理解の進捗と学力の定着を助けたい。今の教科書にある図形でも、それを動的に操作することによって、新しい見方・考え方が生まれてきます」

 また、中学校の「情報とコンピュータ」の選択科目「プログラムと制御」の中で取り上げられているプログラミング言語は、ほぼ20年前のものであると指摘、「子どもたちには、将来のプログラムの基礎になるものを与えたい」と、新しいプログラミング語「ドリトル※」を扱った副教材の発行を教科書・教材各社に働きかけている。「ドリトル」は、日本語でプログラミングでき、かつ数時間程度で、中学生でもアニメーションをプログラムすることができる言語だ。「ドリトルならば、より多くの生徒たちにより簡単にデータ処理やプログラミングの基礎的な考え方を身につけさせることができます。また、日本語でプログラムできることも大きな特徴のひとつです」。ドリトルのHPでは、これまで実践してきた小中学校の授業用テキストもアップしてある。

 学校教育で使える 教育用プログラミング言語として、筑波大学久野靖教授の指導のもとに、一橋大学兼宗進助教授と現場の教員とで開発。http://www.logob.com/dolittle/にてダウンロードできる(フリーウェア)

「学校ITは学力にどんな影響を与えるのか」
● 図形を動的に操作することによって、新しい数学の見方・考え方が養われる
● プログラミングの基礎となる概念をイメージさせ、今後の基礎となる力をつけさせることができる


<プロフィール>
 特定非営利活動法人 地域学習センターゆーらっぷ代表・IT活用教材標準化委員会 代表
 ゆーらっぷURL http://www.urap.org/
 ITEM URL http://www.it−em.jp



【2004年4月3日号】