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INTERVIEW 「学校ITと確かな学力」26
大学入試に
教科「情報」を導入
  ──ITマネジメントに強い学生を育成
専修大学教授
竹村 憲郎氏

竹村憲郎氏
 平成18年度大学入試において教科「情報」を導入する大学は、15大学。専修大学経営学部もその一校である。大学入試における教科「情報」の導入と課題を、専修大学経営学部の事例を中心に、同大学竹村憲郎教授が講演した。(弊社主催第二回IT活用セミナーより)

 経営学部入試で教科「情報」を導入した理由は3つあります。ひとつは、学部設立時からの伝統である「情報教育の重視」の一層の促進。次に、選択科目の多様化という受験生ニーズへの対応。最後に、高校における情報教育の推進の支援です。

 当学部では、一般入試のA方式(英語、国語および選択科目の3教科同一配点)およびB方式(得意科目重視)の選択科目に、普通教科「情報」を導入しました。出題範囲は「情報A、BおよびC」となっていますが、基本的には「情報A」を中心に出題し、その応用として出題する一部が「B」または「C」の範囲にまたがるということです。

 出題の狙いは、情報及び情報技術を活用するための基礎的な知識と技能を習得しているか、それらの知識を応用することができるかを試すことにあります。マーク方式4割、記述式6割を目途にしています。

 本試験実施に先立ち平成16年から17年にかけ、模擬試験を実施致しました。マーク方式48点、記述式52点という問題構成です。記述式では、アルゴリズムの設問と、コンピュータウィルス対策を説明する設問でした。模擬試験受験者は、「情報リテラシ」を受講する当学部1年生60名と、首都圏1都3県の公立高校生で、普通教科「情報A」を受講している(一校のみ「情報C」)421名です。その結果、高校生は平均41・3点、大学生は64・9点となりました。

 高校生で正答率が低かったのは、検索エンジンに関する穴埋め問題やOSに関する選択問題、ウィルス対策に関する記述問題でした。また、大学生で正答率が低かったものは、ソフトウェアの保護についてでした。高校生で正答率が高かったのは「情報セキュリティ」に関する問題でした。大学生で高い正答率が得られたのは「ディジタル」「アナログ」「ビット」など「情報」に関する穴埋め問題や、経路のアルゴリズム問題でした。

 高校における普通教科「情報」の開講状況は「情報A」が約7割と大変多いのです。「情報」入試をAのみとしたり、ABCからとするなど、各大学で違いがあります。しかし、今後継続的に試験を実施するとすれば、Aのみですと、問題がすぐにパターン化されてしまいます。ある程度バラエティを富ませるには、Aだけでは限界があります。

 現在は15大学が教科「情報」を入試に導入していますが、今後もっと普及させる必要があります。国立8大学では、「8大学情報入試ワーキンググループ」を組織し、入試科目に教科「情報」を導入する可能性を検討中です。また、大学入試センターでは、2003年春に「当面出題しない」としながらも、引き続きの検討を行っています。

 大学入試への「情報」導入に関して高校の「情報」担当の先生方に昨年秋にアンケートしたところ、導入にそれほど積極的ではないという回答結果がでました。高校関係者の意識の改善を促進していく必要性を感じます。当学部としては、ITとマネジメントに強い学生を育成するために、今後とも「情報」入試を積極的に推進していきたいと考えています。

【2006年2月4日号】