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INTERVIEW 
「学校における情報化」引き続き重要課題
  ── 教育のIT活用指導力 きめ細かく支援
文部科学省生涯学習政策局

 椿 泰文 参事官

椿 泰文 参事官の写真

 文部科学省では昨年12月27日、「平成20年度文部科学省IT関連予算」として、「学校教育分野の情報化」「専門的な知識又は技術を有する創造的な人材の育成」「生涯学習分野の情報化」「次世代の知を生み出す研究開発及び基盤整備の推進」「文化芸術分野の情報化」「『情報化の影の部分』への対応」「行政の情報化の推進」の7つの事項に分類し、取りまとめた。各予算事項について文部科学省生涯学習政策局・椿泰文参事官(学習情報政策担当)に聞いた。

――「学校教育分野の情報化」平成20年度予算案の減額について
  平成20年度予算案では、私立学校におけるコンピュータ整備等のIT関連予算の一部について、私立高等学校等経常費助成費補助金の内数で措置することに伴い、予算が減額しているように見えますが、実質的にはほぼ横ばいと考えています。


――「学校教育情報化推進総合プラン」引き続きモデル事業を展開
  学校教育の情報化は引き続き重要な課題です。「学校教育情報化推進総合プラン」では、学校における教育の情報化を総合的に推進するため、IT教育の充実、教員のIT指導力の向上、学校のIT環境整備、校務の情報化の促進、高度IT人材の育成及び情報モラル教育の推進等に資する事業や、教員のサポート体制の構築やICT指導力の向上等の取組を促進するモデル事業を新たに開始することとしています。

  公立・私立学校等におけるIT環境の整備のうち、公立学校については、公立学校施設整備費の中で措置され、校舎の新築や増築、改築、改修など施設的な工事を行う際に、LAN整備工事費を援助するというものです。また、私立学校については、コンピュータ等IT教育設備の購入費や校舎等を改造する際の校内LAN整備に要する工事費を援助するというものです。
  なお、公立学校におけるコンピュータ整備や超高速インターネット接続等に必要な経費については、地方財政措置が講じられており、文部科学省としては、整備主体である地方公共団体の取組を促進していきます。

――教育用コンテンツの充実・普及について
  例えば、理科教材開発・活用支援も含めたコンテンツの充実など、引き続き行っていきます。また、発達障害のある幼児児童生徒への教育的支援に向けた情報提供などを行います。

――教育・学習におけるデジタルテレビの活用等について
  地上デジタルテレビ放送の特長を生かした学校教育現場での活用方策について、平成17年度より全国6地区においてモデル事業を展開しており、本事業は平成19年度で終了します。地上デジタルテレビの教育効果を踏まえ、例えば兵庫県尼崎市では、全小学校に電子黒板付き大型ディスプレイを配備しました。さらに、平成20年度は各学校教育現場を対象に番組活用に関する調査研究を行うとともに、モデル事業で得られた成果も踏まえ、各学校教育現場の環境に応じた機器導入のモデルを策定、提示することで、地上デジタルテレビ放送の普及・活用の促進を図ります。

――「専門的な知識又は技術を有する創造的な人材の育成」について
  「先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム」は、産学官が連携してITスペシャリストを育成していく高等教育局のプロジェクトです。世界最高水準のIT人材として求められる専門的スキルを有し、企業等で先導的な役割を担う人材を大学院において育成するための拠点形成を支援します。
  また、大学等において高速・大容量の学内LAN、コンピュータ等の総合的整備を支援します。

――「情報化の影の部分」への対応について
  「有害情報への対応」については、例えば、青少年を取り巻くメディア上の有害情報をめぐる深刻な問題に対して、全国レベル及び、地域レベルにおける推進体制を引き続き整備していきます。また、家庭において携帯電話やパソコンなどを使用する際のルールづくりや有害サイトアクセス制限サービスなどの内容を盛り込んだ家庭教育手帳を配布します。
   また、「情報モラル教育」については、子どもたちに情報モラルの大切さを理解させるフォーラムを開催するなど、引き続き、その推進に取り組んでいきます。

  このほか、人間関係の希薄化や直接体験の不足などが子どもたちに与える負の影響に対処するため、体験学習などの予算となっており、自然体験活動、文化体験活動、運動部活動体験などを推進しています。

(西田 理乃)

【2008年2月2日号】

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