教育家庭新聞・教育マルチメディア新聞
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文教市場 企業のスタンス
高機能プリンタで基礎学力の定着を
習熟度別プリント学習可能にする
学校のためのプリンタを開発・提案
株式会社リコー 
販売事業本部ソリュージョンマーケティングセンター
α事業推進室α販売グループリーダー

上草憲昭氏
株式会社リコー 上草憲昭氏超高速出力・速乾性インク使用
集約印刷機能・環境にも配慮


■ 一斉授業の中で
  個別指導可能に

 競争や教え合い、プレゼンなど注目すべき効果も期待できる一斉授業での講義だが、理解と定着をそれだけで実現するのは難しい。また民間教育の活用など学校を取り巻く教育環境も多様で、今までにも増して個人差も大きくなっているのが現状だ。これが教室の中にも反映されていることが多く、指導を難しくさせるもとにもなっている。

 また、公立校での学力低下がささやかれている一方、個別指導を前面に掲げる塾の勢いは増している。進度や問題の難易度、教え方など、個別にきめ細かな対応をアピールして、父母の安心を獲得しているもようだ。

 実際、個別指導の良い部分を取り入れようという動きは既に、一部の公立学校でも始まっている。たとえば、放課後の自学自習。弱点補強や応用問題へのチャレンジなどそれぞれが自分の課題を持ち、自主的に取り組む。それを見守る先生は、教室を巡回しながら折に触れ励まし、質問に答える。もちろん、教材や進め方も先生方の手作りである。それだけに、一部の先生に業務が集中しがちと言われる中では、個人の熱意に支えられているところが大きい。学校によっては、その先生の異動とともに指導もなくなってしまうこともあるようだ。

 また、習熟度別クラス編成の導入に取り組む学校もある。担当のシフト組みや生徒の振り分けなど難しい問題もあるが、具体的な課題を共有しているグループへの一斉授業という形は個別指導のメリットを取り入れつつ、先生方の負担を多少なりとも軽減する。また、システム化することで個人のやり方に影響される部分を少なくすることもできる。

 さらに、教室内でのプリント学習にその活路を求めている学校も多いのではないだろうか。既習範囲に関して繰り返し学習に期待する人も多いが、全員がテスト形式、同一歩調で進めていくのにも問題がある。

 そこで出てきているのが、多様なプリントを用意し、個別の習熟度に合わせて実践していく方式。1枚あたりをこなすスピードや問題の難易度、内容の進度などそれぞれにあった定着(弱点補強、応用力向上など)を図ることを期待している様子。ただ、これにも問題がある。多様な種類のプリントを生徒数分常時保有し、随時提供できるよう管理しておかなければならない。その数が増えれば増えるほど生徒への対応はよりきめ細かくなる一方、運営の労力は増大していく。

■ 時間・コスト削減で
  学校を支援

これを両面印刷のスピードアップにより、時間とコストの両方を削減し、学校を支援しようと意気込む株式会社リコーが開発し提案するプリンターが、「IPSiO G」シリーズ。

 リコーのα販売グループリーダーの上草憲昭氏によると「A4フルページカラー8・5枚/分、A4モノクロ14枚/分はぜひ注目してもらいたい超高速出力」とのこと。確かに両面印刷をカラーで行ってもらうと、紙の動きに止まる場面がなくスムーズな動き。また、仕上がった紙をこすってみても指に色がつかず、印刷直後生徒に渡す場面が多いと考えられる授業内での活用にも十分という印象だ。

 「これは・安定紙送り・・用紙後端部印刷・・GELJETビスカスインク(速乾性・クリア定着性)・という機能が支えていて、それぞれの機能がバランスよく集約されたことで可能になりました」

 また、「提示型教材を活用する場面が増えると予想される今後の授業では、プレゼン時よく配布資料で使われる複数の提示画面を縮小し1枚の紙に一覧できるよう集約して印刷する機能・集約印刷・に注目して欲しい。さらに目次がわりのサムネイルとして、また散乱を防ぐ意味でも有効活用できるはず」

 発展学習の資料や、先生自作のプレゼンなど、ページ数が多いものを配布する時に威力を発揮する。
 更に、最近ますます注目を集めつつある環境問題だが・再生紙対応・・カートリッジ回収・など環境に配慮した対応もとっている。

 総合的学習で環境をテーマに取り上げる学校が多い中で、日々の生活の中で身近に使うプリンタを通じ、教育的にも考えさせられる企業姿勢といえる。今後の展開にも注目したい。


■ 新しい授業シーン
  今だからこそ可能

これまで、新機能の付加をアピールすることに熱心だった関連メーカーだが、LANも含め、学校内でのIT環境が整備され、情報機器が日常化しつつある今、もはや、目新しさだけではユーザーを納得させることができない。

 教員自身も関連機器の機能を使いこなすため、お互いの実践事例など情報交換に苦心している中、どのような生徒を対象に、どのような指導場面で、どのような使い方をするのか、より具体的なイメージを持った開発、提案が求められている。

 人間にしかできないヒューマンタッチな部分と、標準化することでより効率アップと均等な教育を実現でする一つの方法として、紙媒体とデジタル媒体とのメディアミックスへの取り組みがある。

 実際、上草氏は企業内研修に携わる一方、電子ボードなど先鋭的な教育機器の活用提案にも取り組んできており、「今この環境だからこそ・紙・と・デジタル機器・のメディアミックスを重視したいのです。膨大なデータを扱うことを得意とするデジタル、携帯性に優れ、自在性、価格に有利な紙をうまく組合せることでこそ、新しい授業シーンに貢献できるはず。

 今回、リコーが提案する、プリント教材をDBに持ち、随時、各教室で必要な内容のものを取り出すことができるようになった、このモデルは、それをより現実のものにしたと自負している」と述べる。


【2004年1月1日号】