教育家庭新聞・教育マルチメディア新聞
 TOP教育マルチメディア文部省予算予算に関する報告 
バックナンバー
文部省予算・平成17年度
新規に「学力拠点形成事業」
「伝えあう力」研究も

 三位一体改革の合意により、義務教育費国庫負担金が4250億円減額されたことで、文部科学省の一般会計予算は対前年度比5・4%減の5兆7332億7100万円となった。学力低下が国際調査で指摘される中、新規に「学力向上拠点形成事業」を実施し、47地域で研究及び教科指導向上プログラムを14教科で展開する。「理数大好きモデル地域事業」、「小学校英語活動地域サポート事業」も新規に推進。また、児童・生徒の心を強くするため、「伝えあう力を養う調査研究」事業により望ましい人間関係づくりを進めるためのカリキュラムを研究する。情報教育関係では、情報モラルの効果的な指導方法を15校で研究をする情報モラル等指導サポート事業、校内LANの整備を促進するe−Japan実現型教育情報化推進事業を展開する。



情報モラル指導を15校で

 「義務教育費国庫負担制度の堅持と教職員定数改善計画の完成」は、前年度比3978億5314万円減の2兆1149億9300万円。昨年11月末の政府・与党合意「三位一体改革について」に基づき、義務教育費国庫負担金について、今年秋までに中央教育審議会で結論を得る。今年度はその間の暫定措置として、4250億円を減額し、減額相当分を税源移譲予定特例交付金で措置する。なお、栄養教員の任用が17年度から始まるのに伴い、新たに国庫負担に計上。

 また、少人数指導や習熟度別指導、教頭複数配置の拡充など13年度から17年度までの5か年計画で行われてきた第7次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画の最終年次として、5380人を改善する。

 学校が抱える様々な課題に対応するため、教員資質の向上が求められている中、新規に「教員養成の改革に関する総合的調査研究等」(1億6200万円)を実施。大学における教員養成の検証及び教員養成の高度化等について調査研究する。また、幼稚園と保育所の連携を一層促進する観点から、保育士資格所有者が幼稚園教員の免許状を取得できるように、新たに幼稚園教員資格認定試験を創設する。

 2つの国際調査から、日本の学力が低下傾向にあることを受け、「学力向上拠点形成事業」を新規に実施する。拠点校を中心に「確かな学力育成のための実践研究事業」(7億8881万円)を47地域で実施し、「わかる授業実現のための教員の教科指導向上プログラム」を14教科×2種類展開する。また、「理数大好きモデル地域事業」(3億1801万円)を新規に実施し、理数教育に積極的に取り組む地方公共団体の提案に基づくモデル地域を指定し、学校を核に地域の教育資源を総合した取り組みを推進する。さらに、「小学校英語活動地域サポート事業」(1億1307万円)を新規に実施する。

 心に響く道徳教育推進事業や「心のノート」の作成・配布など、「命を大切にする教育」(11億6393万円)を拡充する。また新規に、「伝えあう力を養う調査研究」を20か所で実施。児童生徒が相互理解や望ましい人間関係づくりを進めるためのカリキュラムの在り方について研究する。
 また、「情報モラル等指導サポート事業」(1億1359万円)も新規に。有識者等からなる研究会を設置し情報モラルの効果的な指導手法を検討し、モデル校15校で研究する。また、教員からの質問などに情報モラル等の指導経験を持つ専門家が答えるヘルプデスクを開設するとともに、教員向け指導資料を作成。

 さらに情報教育の推進として、2005年を最終年次とするe−Japan計画の目標達成が絶望的な状況下、「e−Japan実現型教育情報化推進事業」(1億188万円)を実施する。校内LAN整備の遅れている自治体に専門家などを派遣し、教員向けの講習会を開催し校内LAN整備やその活用を促す。

 高度なIT人材を専門高校などで育成するカリキュラムを実施するIT人材育成プロジェクトも15校に拡大、ネットワーク配信コンテンツ活用推進事業も拡充し新規に9地域、合計36地域指定する。

 2011年に完全移行する地上デジタルテレビ放送の教育活用促進事業(8600万円)を実施する。サーバー型放送・インターネットの連携など授業での活用方法について研究し、教員が授業用の教材を容易に制作できるソフトを開発する。

 また、学習成果を学び直しや就職活動などにつなげていくe−Learningによる人材育成支援モデル事業(1億8900万円)を実施する。




【2005年2月5日号】