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私学経営
生活指導・生徒指導の先生に
情報・インターネットの知識は必至
NPO情報セキュリティフォーラム
  特定非営利活動法人NPO情報セキュリティフォーラムは、情報セキュリティに関する「調査・研究開発事業、教育事業、啓発普及事業などを行う団体として平成15年12月に設立した。小・中・高等学校教職員を対象とした教育現場の情報セキュリティ確保に向けた講座の実施や情報セキュリティに関する講演会、セミナー、研修等の講師を派遣、教育現場での調査など、セキュリティに関わる様々な活動を積極的に行っている。啓発普及プロジェクトリーダーの今野友行氏に、学校現場におけるセキュリティ教育の重要性について聞いた。



  NPO情報セキュリティフォーラムでは、教育現場における情報セキュリティの強化や向上を図り、児童・生徒・学生の安全を確保することを目的として、教育現場における情報セキュリティ事故とその対応事例の収集・研究を実施しています。

 インターネットの普及により、子ども達は予想もつかぬ危険に晒されています。見たくもない猥褻・残酷メールや架空請求メールが届き、知らぬ間に自分の写真が出会い系サイトに掲載される、というトラブルはもはや大人だけの問題ではありません。親の目が行き届かない範囲が情報機器によって広がったということもあって、コンピュータにしろ携帯電話にしろ、インターネットの危険性を知らない子ども達は面白半分、あるいはままならない操作や知らない間に出会い系サイトの宣伝を見てメールを送る、安易にアンケートに回答を送る、プレゼント応募を行う、掲示板に投稿するなどを行ってしまった結果なのです。こうした事態に歯止めをかけるシステムや教育が今、必要とされています。

 インターネット上での「常識」「マナー」は、一般的に「情報モラル」と呼ばれており、「情報モラル」教育の必要性が強調されています。今の子ども達に「モラル」がないわけではないのですが、「情報モラル」は、これまで「道徳」などで指導されている「モラル」とは性質を異にします。保護者らは、インターネットや携帯電話を使うことについて漠然と「危険である」とは感じていますが、具体的に子どもを指導することができない状況です。インターネットの世界の怖さは、「怖さ」がインターネットを使うことによって歪んでしまうという点です。そこを防ぐためにも、各校の生活指導・生徒指導の先生こそ情報・インターネットの知識が必要になります。保護者から問合せがきたとき、すぐに対応できる学校・そして教員が今、求められているのです。

 学校側は、既存の知識で満足せず、情報収集をしていく必要があります。お互いに情報を共有し、その現象が良いことか悪いことかの判断基準を子どもたちの中に作ることが重要です。インターネットの活用が不得手な先生であれば、インターネットの活用ビギナーである生徒が陥るミスを侵す可能性がありますから、先生の失敗の話を子どもに話すという指導を行うというスタイルも存在します。「情報モラル」教育が学校側できっちり行われることは、保護者にとって非常に安心材料になると考えられます。

 セキュリティフォーラムでは、教育現場で起こった実際の事例を数多く収集、未然の事故防止や適切な対応をとる際にご活用いただける事例集を作成しており、事例集はWeb等において広く公開、より多くの皆様にご利用いただきたいと考えています。また、来年度は、小中学生とその保護者を対象とした安全教室なども予定しています。

 特定非営利活動法人NPO情報セキュリティフォーラム事務局
 電話045・311・8777
 E-mail:isef@isef.or.jp http://www.isef.or.jp/index.html

■生徒募集 ■学校経営
  成功事例を考える 
大学通信・安田賢治部長
 「生徒を集める」ことは、「良い生徒を選別」できることに通じ、結果「進学率が上がる」ことにつながります。「集める」ために各学校は様々な方策を練ります。

 しかし、「放っておいても優秀」な生徒層よりも、「教えれば伸びる」生徒層のほうが、明らかに厚いわけですから、如何にこの層にスポットを当て、ひとつふたつ程度でも特定の分野で秀でた特徴が打ち出せれば、生徒募集に成功する可能性は大いにあります。男子校の場合、就職率の良さから見越して「進学実績から選ぶ」という傾向がありますが、女子校の場合は選択肢が多様になっています。

 「他にない特色を出す」しかもその特色が「生徒や保護者にアピールする」ものであること、それにより生徒を広く集めることで、結果的に進学実績を高める、可能であれば公立トップ校のすべり止めになる、あるいはそこそこの進学実績を保持する、というのがひとつの流れとしてあります。
 星陵高校(旧青蘭学園)は、高校からの募集で成功しています。共学化・制服一新はもちろん、進学実績を高め、かつ面倒見の良さで生徒を集め、都立・日比谷高校などの滑り止め校としてのポジションを獲得、結果的に進学実績を高めることに成功しました。

 また、渋谷教育学園渋谷は、カリキュラムを広く公開することで保護者に期待感を与えるのに成功しています。当時としては、画期的な試みでした。

 関東国際高校では、普通科のほかに、演劇科や、ロシア語・韓国語などを学ぶ「外国語科」を設けています。

 日出学園(千葉県)では、共学化し、中学入試で推薦を取り入れたり、漢字検定や数学検定の保持者には優遇措置を行なっています。

 市立ですが、堀川高校(京都)では、「探求科」を設けています。いろんなことを「探求」するわけです。総合学習に似た動きともいえますが、非常に生徒を集め、結果、進学率も伸びました。

 鴎友学園(東京都)では、キャリア教育を実施し、10年後、20年後の将来を考えさせて、そこから職業や進学を考えさせることでモチベーションを上げています。また、大阪薫英高校では、英語科と普通科の希望者には海外留学で1年間全員ホームステイを実施しています。

 「英語」は私学の突破口になり得るようです。入学したとき、偏差値30程度だった生徒が、伸びるきっかけになるとすると、「英語」です。入学して、これまでやらせたことのないことを行う、というのが良いですね。

 今、教科「情報」が高校では必修になり、コンピュータ教育が行われていますが、まだ促成の教員ばかりです。本当の面白さを伝えられれば、学校をアピールできるよいきっかけになるのではないでしょうか。

 神奈川県では「受験戦争廃止」のためにと、データを全て開示するようになりました。データの開示など「学校評価」「教育評価」も、私学で先鞭をつける学校が出てくると、また動きが変わってくると思います。




【2005年2月5日号】