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NEW HORIZON
リスニング・リーディング習熟に効果
集中力・モチベーションが持続
郡山市・郡山第二中


50分間集中力が続く
 全員が本時の目的を達成

画面に集中している様子がよくわかる
画面に集中している様子がよくわかる
 郡山市では、この4月より市内全中学校・全学年に平成18年度版教科書準拠「NEW HORIZON」デジタル教科書(Windows版)を導入した。現場ではどのようにデジタル教科書を活用しているのか。郡山市立郡山第二中学校(学校長 小野義明)・英語科の小野ア卓也先生の授業を取材した。

◇ ◇ ◇

 取材に伺った授業は2年6組(男子16名・女子14名)。本時の目標は「What am I?≠フ会話をペアですらすら読めるようになろう」というもの。デジタル教科書はプロジェクタを使い、スクリーンに投影して使っている。同校にはプロジェクタが10数台あり、各教科で教室に持ち込まれ、使われている。また、ノートPCも全職員に配布、校務始め各教科で活用されている。

 最初に、デジタル教科書で「新出単語」を確認・発音練習を行う。スクリーンに映される単語を見ながら、ネイティブの発音を聴き、クラス全員で発音練習を繰り返していく。習熟度を見ながら何度か繰り返した後、次は「発音なし」モードに変え、スクリーンに出てくる単語をクラス全員で発音。その後は、教師がランダムに生徒を指名して発音させるなど、短時間に何度も手法を替えて単語の発音練習を行う。

 次に、プロジェクタに「本文」だけを映し、教科書本文のリスニング、次に本文の発音を聞きながら意味を確認する。予習が徹底指導されているため、次々と手が上がる。意味を把握した後、デジタル教科書から流れるネイティブの発音の後を繰り返し音読、教師の範読の後を繰り返し音読、最後にペアで役割に分かれ、音読練習――と授業は淀みなく流れていく。前半30分ほどが単語や本文のリスニングと発音練習でほぼ費やされた。

 隣同士ペアで行う役割練習も、各自が集中して練習、最後に行った発表では、ほぼ全員が本時の目標「ペアですらすら読めるようになろう」を達成していた。

 小野ア先生はこの4月、郡山第二中に赴任してきたばかりで、このクラスで授業を行うのは5回目だが、授業展開は非常にスムーズ。生徒の集中力が維持したまま、50分間の授業が終えられた。

 授業後、生徒らからは「楽しくてわかりやすい」「以前より教科書を速く読めるようになった」などの声が聞かれた。


目的にあわせて
 効果的な活用ができる

 「今日は新出文法のない題材だったので、リスニングとリーディング中心に徹底的に反復練習に費やしました。デジタル教科書を使うと、マウスのクリックひとつでタイミング良くリピート練習を様々な手法で行うことができます。今日だけで生徒たちは20回以上は本文を声に出して読み、30回以上は本文をリスニングしたのではないでしょうか。英語は、限定された時間の中で何回読めるか、が勝負です。CD教材だと繰り返し行うのに手間がかかりますが、デジタル教科書は、その目的をワンクリックで短時間に何度も繰り返せる点がとても便利」と述べる。

 家庭学習で「読む」練習を効率的に行うためには、「学校の授業の中で淀みなく読めるようになっておくこと」が重要な要素となる。デジタル教科書の機能を効果的に使い、導入の1時間でほぼ全員がその目的を果たすことができた。

 「全校ライセンスでの導入なので、校内のどのPCからでもデジタル教科書にアクセスできます。休んだ生徒には、デジタル教科書を使って自習をさせたり、コンピュータ教室を使えるときには各自にマイクとヘッドフォンを渡し、個別にリスニングやスピーキングの練習もできます」と、一斉授業だけではなく、個別学習にも活用されている。

 また、ラインマーカーなどの書き込みツールは文法の説明などに活用している。


プロジェクタの準備は
 生徒が行なう

 小野ア先生が各教室に持ち込むノートPCとプロジェクタの準備は、各クラスの英語教科委員が行う。

 各クラスの委員は「先生が前の時間どのクラスで英語の授業を行ったか」を把握しており、そのクラスに行ってプロジェクタとノートPCを自分のクラスにセッティングするという。基本的に授業開始前には、デジタル教科書投影の準備は済んでいる。

生徒の“意欲”引き出す教材
 「授業で勝負」が可能に

小野学校長
小野学校長
 「先日初めてデジタル教科書を使った英語の授業を見ましたが、非常にテンポよく授業が進み、生徒たちも集中して意欲的に取り組んでいました。教科書がそのままプロジェクタで投影されるので、違和感なく子どもたちもその画面に集中して学習出来る点が良いですね。デジタルコンテンツが子どもたちの意欲を引き出していく様子を見ることができました。本校では『授業で勝負』を合言葉に各先生が頑張っていますが、それに向いた教材だと感じました」。


▼問合わせ先
 東京書籍 http://www.tokyo-shoseki.co.jp/

【2006年5月6日号】


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