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光村図書
「筆順わかりやすい」と大喜び
「読み取り」作業が意欲的に
上越市・大瀁小


導入後数ヶ月で
 毎日の活用すすむ

教科書画面が前にあるので説明しやすい
教科書画面が前にあるので説明しやすい
 上越市教育委員会では、昨年度から全小学校の1、2学年に平成18年度版教科書準拠「光村国語デジタル教科書」を導入した。大瀁(おおぶけ)小学校(校長・久保田吉則)2年生でも活用が始まり、効果を上げている。大瀁小には、電子情報ボードが3台導入されており、現在取り組む「たんぽぽのちえ」が終了するまで、教室に据え置き、教科指導を行っている。

◇ ◇ ◇

 2年1組では、ベテラン星野京子先生が「デジタル教科書」を活用し「たんぽぽのちえ」の紙面を、電子情報ボードに投影して授業を行った。「どんなちえがあるのかな?」という先生の問いかけと共に、全員で教科書を一読。デジタル教科書のページをめくりながら、児童らに「どこにどんなちえが書いてあっただろう?」と問いかけると、「21ページにあった!」「22ページ!」と積極的に声が上がる。

 教科書に各自「ちえ」と考える箇所とその「わけ」に線を引いた後は、教室の前に出て、発表だ。皆の注目を集めながらデジタル教科書本文に線を引いていくので、「誰がどこに線を引いたのか」「それが自分の意見と同じなのか違うのか」が一目で分かる。

 授業の最後には、今日学習したところを先生が範読。その際、デジタル教科書の参考資料にある「動画」を流し、たんぽぽの実際の動きを見ながらの「聞き取り」を行った。デジタル教科書を導入して数か月、星野先生はPC活用暦が浅いにもかかわらず、その活用方法と扱いは的確だ。

 2年2組では教師歴2年目の畑山晴子先生が授業を行う。「たんぽぽのちえってなんだと思う?」という問いかけから「ちえ」について児童に考えさせる。「『ちえ』とは、よい考えや方法を考えるあたまのはたらきのことだね」と説明しながら、本文の挿絵の横に、筆箱ツールの中のスタンプ機能を使って「吹き出し」を入れ「ちえ」の意味を書き込むなどの工夫が見られた。


児童の集中力
 上がりました

“線を引く”活動で国語力向上
“線を引く”活動で国語力向上
 

昨年秋から使い始めている星野先生は、「まず最初に効果を実感したのが『漢字アニメーション』です。それまでは、黒板に私が書きながらの指導でした。大きく見やすいようにと配慮してきたつもりでしたが、『漢字アニメーション』を使って筆順指導をすると、子どもたちが『筆順が分かりやすい』と大変喜ぶので、驚きました」と述べる。教師が黒板で書くと、教師の手の影で見えにくくなり、筆順指導の徹底が図れないことがあったようだ。

 4月からは電子ボードも教室に持ち込み、本格的に活用を開始。「教科書のどこを説明しているのかが一目で分かりますので、児童の集中力が上がり、一斉指導がしやすいですね」。デジタル教科書を電子情報ボードを併用すると、授業中の書き込みを保存できるので前時の振り返りもできる。「うまく活用すれば、これまで模造紙などで作っていた教科書本文などの教材制作の時間が大幅に短縮されます。これからは積極的に活用していきたいですね」。


「国語科」でIT活用を
 IT“苦手”意識なくす

 上越市では、校務の情報化に力を入れており、教員への公用ノートPC整備も進んでいる。合併前には未整備の学校もあった市内全小中学校の校内LAN整備も昨年度終了した。インターネットには平成8年から接続されており、市内小・中学校、高校、大学が利用する地域教育ネットワークはNPO法人上越地域学校教育支援センターが中心となり管理・運営されている。川住晴彦指導主事に環境整備のねらいと目的とデジタル教科書導入の理由を聞いた。

 「合併前には不揃いだった全76校の教育環境をそろえたいと考えています。分かる授業実現のためにもIT機器を先生方に積極的に使ってもらい、教育格差をなくしていきたいのです。そのために電子情報ボードや無線プロジェクタなどを導入し、活用しやすい環境を心がけ、公用ノートPCを配布して校務の情報化と効率化を進めるなど、教員がICT環境に毎日のように触れることのできる環境づくりの中で活用スキルの向上を目指しています。国語は小学校でも最も時間数の多い教科です。その中でIT活用を日常的に行うことは、ITスキルの向上にもつながることが期待できます。また、『光村国語デジタル教科書』は教科書に準拠しているため児童にとっても先生にとっても違和感がなく使いやすいとの声も聞こえてきます。これならばITが苦手な先生も、教室にノートPCを持ち込んで授業をしてくれるのでは、と考えました」。

 今年度は低学年のみの導入だが、先生方の要望によっては、他学年や中学校、他教科におけるデジタル教科書などの導入も視野に入れている。

▼問合わせ先
 光村図書出版株式会社 http://www.mitsumura-tosho.co.jp/

【2006年5月6日号】


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