| 学校給食における衛生管理の改善に関する調査研究報告 |
巡回指導先に見られた食中毒発生要因
【有症者数は1698人】【TOPページに戻る】
ウェルシュ菌による食中毒
本事例は、児童生徒、教職員以外に患者の発生がなく、共通食が学校給食しかないこと、患者、健康者の便からウェルシュ菌が検出されたことから学校給食を原因とする食中毒と断定されたが、保存食からは検出されていない。喫食後短時間で発症しているが、前日調理も行われておらず、調理過程のどこでウェルシュ菌が付着し増殖したか不明の事例である。
サルモネラ・エンテリティデイス(SE)による食中毒
(事例1)本事例は、鶏卵を取り扱ったミキサーを介しての食中毒である。平成9年度のミキサーを介した同様な食中毒事件は承知しており、9月〜10月は鶏卵の使用はさけ、気温が下がるであろう11月に入れば鶏卵は安全と思いミキサーを使用したものである。11月のミキサーの使用状況は1日、2日、8日は鶏卵の攪拌に使用し、5日には調味液を攪拌していた。1日の卵スープ、2日のピカタの保存食からはSEは検出されていないが、5日のゴマ和えに使用した調味液からSEが検出されている。これは、1日及び2日に使用した鶏卵に存在していたSEがミキサーに付着したまま残存し、5日の調味液等を汚染したものである。また、8日の千種焼きの加熱不足も指摘されているが、保存食からはSEは検出されていなかった。調理法を確認したところ、千種焼きに使用する鶏肉等食材があらかじめ加熱されず卵液と混ぜ合わせられ加熱されていることから、加熱不足の可能性もあったことが推測される。平成9年度の事例を生かしきれていない非常に残念な事例である。
(事例2)本事例は、患者の便及び保存食の焼きそばからSEが検出された。焼きそばの加熱不足が指摘されているが、保存されていた原材料からSEは検出されていない。ただし、焼きそばに使用した豚肉は保存食として採取されておらず、食中毒の原因解明に支障をきたしている。加熱不足については、当日、通常は3釜で行う炒め調理作業を2釜で行ったことが原因として推測されている。繰り返し行っている調理だからと油断することなく、作業工程表が作成され、確実に温度確認されていれば食中毒は避けられたのではないかと思われる事例である。
ヒスタミンによるアレルギー様食中毒
本事例は、揚げ鮪を食べた生徒及び教職員が、給食喫食後30分経てから、顔面紅潮・頭痛・発熱等を訴えたもので1日を経てほとんどの生徒が回復した一過性のものであった。
食材の冷凍鮪は、調理当日6時30分に無人の学校に納入され、そのまま常温放置されていた。50分後出勤した学校給食調理員により検収され専用容器に移し替えられたが、全部を揚げ終わる時間まで調理室内の食器洗浄機と熱風保管庫の間で自然解凍されており、その間にヒスタミンの生成が進んだものと推測される。
揚げ鮪の保存食1検体から100g中1395010のヒスタミンが検出されている。原材料からはヒスタミンは検出されなかったものの、使用された鮪は、通常は佃煮用として加工されるもので、原材料にヒスタミン生成が起こり始めていた可能性もある。
小型球形ウイルス(SRSV)による食中毒
本事例は、給食の保存食から食中毒の原因となる細菌及びウイルスはいずれも検出されず汚染経路、感染源の特定ができなかったが、患者の便からSRSVが検出されたことや発症者の推移から判断して、原因食品は共通食である学校給食と推定されている。
カンピロバクターによる食中毒
本事例は、学校給食の保存食からは食中毒の原因菌は検出されなかったが、発症の状況と患者の便からカンピロバクターが検出されことによって学校給食が原因と断定された。751113以上1分の加熱調理がされたことは確認できていることから、加熱後放冷して喫食されるまでに和え物が何らかの原因で二次汚染された可能性が推測されている。野菜の冷却を排水溝の上で行い床からの撥ね水による汚染の可能性があったこと、前掛けの汚染・非汚染の区別がなかったことなどが指摘されており、これまでに学校給食で発生した二次汚染が原因とされる食中毒の教訓が生かされていれば防げたのではないかと思われる食中毒であった。
(教育家庭新聞2000年6月10日号)
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