校庭でアリを調べる

実体験とパソコンを融合
東京都練馬区立光が丘第七小学校

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生活科で1年間かけて
 「こっちの食べ物の方が良く集まってくるよ」
 東京・練馬区立光が丘第七小学校第2学年の谷川啓太先生のクラス(男子9名、女子14名)では、生活科で1年間、校庭や道端などどこにでもいる「アリ」について調べまとめることで自学自習の方法を身につけさせる「自学自習プログラム」を展開している。
 高層団地群の中の学校だが、周辺の自然環境には光が丘公園をはじめ、大小の公園がいくつもある。校庭も土で、都心の学校としてはかなり広い。
 最初、観察箱で観察し、画用紙に記録をスケッチ。図書資料で調べたのち、調べたい内容によって、子どもたちを「アリの体」、「アリの食べ物」、「アリの種類」、「アリのす」に4グループを編成。校庭等でのグループの自由研究につなげていった。
 取材した日は自由研究の2回目で、4時間続きの授業。まず2時間かけて、グループ別に校庭でアリを観察する。「アリの種類」グループは、砂場でアリをつかまえてペットボトルに入れている。「アリの体」グループは花壇で、太鼓や笛、ピアニカを持ち出してアリが音に反応するか実験している。「アリの食べ物」グループは、ハムやパンを校庭脇の植え込みや校舎裏のコンクリートに置いて、アリの反応を見ている。「アリのす」グループは、見つけたアリのすを実際にかなり深くまで掘っている。
 グループ別にデジタルカメラを持って、見つけたアリの卵や、頭や足を撮ったりしている。また、顕微鏡で観察している子もいる。
 前回の自由研究では、皿の上に食べ物を置いて、どの食べ物にアリが多く集まるかの観察などを行い、文章に写真を貼り付けてパソコンでまとめた。
 今回も校庭での観察後、パソコン教室で2時間かけて「したこと」「分かったこと」をまとめる。教室には、ネットワーク管理の負担が少ないウィンドウズNTワークステーション搭載の最新機種が20台。お絵描きソフトの「キッドピクス」+ペンタブレットで観察したことを絵に描く子とワープロソフト「Word」で前時の活動や分かったことを文章でまとめる子に分かれる。

やさしいソフトで
 「Word」は、大人向けのソフト。そこで、小学生でも使えるようにやさしくメニューをひらがな表記にし、いらない機能を制限したアドインソフト「DrクシンプラーforWord」(株式会社ディアイエス)がインストールされている。低学年では文字入力の困難さが一般に問題になるが、このアドインソフトの場合、ソフトウェアキーボードがかなり工夫されているようで、ひらがな、カタカナ、かんじ、だくおんなどがボタン1つで切り替えることができ、低学年の子どもにも入力しやすいようだ。子どもたちが文章を作る様子を見ていると、入力のスピードも速いようだった。
 そのため、「とりあえず文章を付けてみるといったかたちではなく、児童がある程度まとまった文章をいきなりパソコンで作成することができる。また、出来上がった作品は特殊な形式ではなく、普通のワード文書となり、ホームページにしたり、他の形で利用するのに非常に都合が良い」と谷川先生。
 子どもたちは、
 「ぼくたちはありをつかまえて、10ばいに見えるけんびきょうと45ばいで見えるけんびきょうであしと口を見ました。ありの足にはとげが19本ありました」などとまとめ、他の子どもの描いたアリの足の絵を貼り付けた。
 次の時間には、調べたことについて発表会を行う。
 パソコンを「まとめ、発表、交流、創造の道具として使いたい」という谷川先生は、「・実験、観察・により科学的な考え方を学び、・図書館の文献調査・で調べ方を学習し、・発表会・や・意見交換・で表現力、文章構成力、発表技能などの力をつけさせたい」「総合的な学習につなげたい」と単元のねらいを話す。

 (教育家庭新聞2000年8月5日号)


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